2019
Ambrosino L, Vassalli QA, D'Agostino Y, Esposito R, Cetrangolo V, Caputi L, Amoroso A, Aniello F, D'Aniello S, Chatzigeorgiou M, et al. 2019.
Functional conserved non-coding elements among tunicates and chordates. Developmental Biology 448:101-110.
脊椎動物と比較し,ホヤ類で CNS を判定.
Bagadia M, Chandradoss KR, Jain Y, Singh H, Lal M, Sandhu KS. 2019.
Evolutionary Loss of Genomic Proximity to Conserved Noncoding Elements Impacted the Gene Expression Dynamics During Mammalian Brain Development. Genetics 211:1239-1254.
遺伝子の構成や配置の変化を伴わない染色体再編成によって,CNS と標的遺伝子の距離が離れるだけでも,遺伝子の発現に影響が出ると指摘.哺乳類 5 目間でゲノムを比較.染色体再編成が,哺乳類での脳の発達に関与し,げっ歯類系統で脳の機能が欠失している原因になっていると結論.
Bravo GA, Antonelli A, Bacon CD, Bartoszek K, Blom MPK, Huynh S, Jones G, Knowles LL, Lamichhaney S, Marcussen T, et al. 2019.
Embracing heterogeneity: coalescing the Tree of Life and the future of phylogenomics. PeerJ 7:e6399.
総説.Phylogenomics.集団遺伝学の問題を考慮した高次系統解析.Multispecies coalescent model (MSC) に注目.オーソログ問題に言及 (P11,P22).
Hu Z, Sackton TB, Edwards SV, Liu JS. 2019.
Bayesian Detection of Convergent Rate Changes of Conserved Noncoding Elements on Phylogenetic Trees. Molecular Biology and Evolution 36:1086-1100.
系統間で保存領域の置換速度を比較する PhyloAcc の紹介.ベイズ法.PhyloAcc は,複数の種を比較して,進化速度が変化したゲノム領域を検出する.PhyloAcc を,収斂した形質の古典的な例に適用:1) 鳥類が飛ばなくなった場合,2) 哺乳類が海に入った場合.いずれの場合でも,表現型が収斂した系統で,保存的非エクソン要素の進化速度が特異的に加速している例を多く見出す.
Sackton et al. (2019) で,進化速度が加速した CNE を検出するのに PhyloAcc が利用されている.CNS のコーディネートは公開されていない.
意見:イントロが参考になる.
Langer BE, Hiller M. 2019.
TFforge utilizes large-scale binding site divergence to identify transcriptional regulators involved in phenotypic differences. Nucleic Acids Research 47:e19.
転写因子を判定するソフトウェア,TFforge を開発.地中生活を送る哺乳類ゲノムに適用し,眼に関与する転写因子を判定.
Mann A, Bhatia S. 2019.
Zebrafish: A Powerful Model for Understanding the Functional Relevance of Noncoding Region Mutations in Human Genetic Diseases. Biomedicines 7.
総説。CRE 変異が病気として生体に与える影響を、培養細胞やゼブラフィッシュで確認する方法。マウスやゼブラフィッシュを用いて病気の原因となる変異を探す方法は、コーディング領域については確立されているが、non coding 領域についてはまだチャレンジングである。
Nash AJ, Lenhard B. 2019.
A novel measure of non-coding genome conservation identifies genomic regulatory blocks within primates. Bioinformatics 35:2354-2361.
非コード領域によって,霊長類・ゲノム調節ブロック (GRB, Genomic regulatory blocks) を判定する測定方法 (measure) の紹介.この方法は,哺乳類だけでなく,広く後生動物ゲノムで,TADs の判定に繋がる CNE クラスターの検出と比較に適用可能と主張.
著者らは以前の研究 (Harmston et al. 2017) で,GRB の範囲は TADs と一致しているので,GRB は TAD の境界判定に利用できることを示している.
Rentzsch P, Witten D, Cooper GM, Shendure J, Kircher M. 2019.
CADD: predicting the deleteriousness of variants throughout the human genome. Nucleic Acids Research 47:D886-D894.
CADD ver. 1.4 の最新報告.CADD (Combined Annotation-Dependent Depletion)は,ヒトゲノムの遺伝的多様性を示したスコア (D886右中).ヒトゲノム・リファレンス・アセンブリから推定した.SNP とインデルを含める.
CADD は,機械学習モデルを用いている.モデルは,(1) シュミレーションによる変異と,(2) ヒト vs チンパンジーの分岐後に生じてヒト集団で固定した変異を学習している.(1) は,選択圧の影響を受けないため,中立な遺伝子座と有害な遺伝子座を含む.(2) は,純化選択を数百万年生き延びているので,圧倒的に中立 (あるいは,やや有害) である.
Roscito J.G., Hiller M. (2019)
Methods to Detect and Associate Divergence in Cis-Regulatory Elements to Phenotypic Divergence. In: Pontarotti P. (eds) Evolution, Origin of Life, Concepts and Methods. Springer, Cham
総説.シスエレメント多様性と表現型多様性の関係を見出す方法をまとめる.
シスエレメントは転写因子が結合する短い配列を含む.転写因子は制御の範囲を決める.このため,転写因子結合領域の獲得や欠失,変化は,シスエレメントの活動制御に強い影響を及ぼす可能性が高い.転写因子結合サイトの変異を考慮した方法が,シスエレメント変化を判定する方法としてよりふさわしい.
転写因子結合サイトを判定する REforge (Langer et al. 18) の説明 (P126).
Sackton TB, Grayson P, Cloutier A, Hu Z, Liu JS, Wheeler NE, Gardner PP, Clarke JA, Baker AJ, Clamp M, et al. 2019.
Convergent regulatory evolution and loss of flight in paleognathous birds. Science 364:74-78.
鳥が飛べなくなるという表現型の収斂進化は,タンパク質コード遺伝子ではなく,調節領域の変異で生じたことを示す.
系統ゲノム,発生,エピゲノム解析を行う.絶滅種モアを含めた 11 種のゲノムを解読し,公開データと合わせて 30 種のゲノムを解析.284,001 CNEの解析を行う.このうち 60,665 が発生過程でクロマチンが開いた状態にあることを確認.このうち,飛べなくなった古顎類 (paleognaths) の系統で,それぞれ独立に進化速度が加速した CNS 2355 個をベイズ解析によって判定.これら 2355 CNS は,前肢の発達で遺伝子発現に関わる.
走鳥類 (ratites) は古顎類 (paleognaths) の一部.飛べなくなった鳥である,ダチョウ,キーウィ,レア,ヒクイドリ,絶滅種のモア,エピオニスルが含まれる.前肢の縮小や羽毛の変化,体サイズの巨大化などが共通する.走鳥類は,単系統としてシギダチョウ類 (tinamous) の姉妹群とされたが,分子系統解析では単系統とならない.このことは,飛翔に関する形質が独立して失われたことを意味する (P1中).
Schoenfelder S, Fraser P. 2019.
Long-range enhancer-promoter contacts in gene expression control. Nature Reviews Genetics 20:437-455.
総説。エンハンサーとプロモータの接触がどのように遺伝子発現に結びつくのか。
Tan G, Polychronopoulos D, Lenhard B. 2019.
CNEr: A toolkit for exploring extreme noncoding conservation. PLoS Computational Biology 15:e1006940. github.
CNEr: CNE を判定する R/BIoconductor toolkit.遺伝子調節と生物学の研究者向け.適用 2 例:ショウジョウバエ vs ツェツェバエ,およびウニ 2 種のゲノム比較.ペアワイズ・全ゲノムアライメントを利用 (P3上).
CNE のクラスターは TADs (topologically associating domains) と
一致しているため,起源が古いとする.このことは,CNE の起源が未だ不明であることを示す.
Intro で CNE 判定ツール (PHAST と CNEfinder) をレビュー。
CNE のコーディネート等は公開されていない模様.
Tehranchi A, Hie B, Dacre M, Kaplow I, Pettie K, Combs P, Fraser HB. 2019.
Fine-mapping cis-regulatory variants in diverse human populations. Elife 8.
cis-調節領域の変異を理解するために,クロマチン状態に関する量的形質座 (caQTLs: quantitative traint loci for chromatin accessibility) を,10 集団 1000 個体にマップ.
GWAS (genome-wide association studies) によって検出される変異は cis-調節領域に存在する.
Venkatesh B. 2019.
Sydney Brenner — a personal perspective. Genome Research.
追悼文.マウス Hoxb3 遺伝子のエンハンサー配列は,フグでも保存.あるフグのエレメントは,マウスHoxb4 の発現パターンを再現する (Aparicio et al. 1995).Aparicio et al (1995) は,フグと哺乳類の間で CNS を判定し,遺伝子移植分析を行う手法が,哺乳類の巨大なゲノムで遺伝子の調節要素を見出しその特徴を調べる強力なアプローチであることを示す.
フグゲノムは,ヒトゲノムから進化的に保存されたエンハンサー (evolutionarily conserved enhancers) を判定するのに利用されてきた (Woolfe et al. 2005; Pennacchio et al. 2006).
Xu L, Wa Sin SY, Grayson P, Edwards SV, Sackton TB. 2019.
Evolutionary Dynamics of Sex Chromosomes of Paleognathous Birds. Genome Biology and Evolution 11:2376-2390.
Yokoshi M, Fukaya T. 2019.
Dynamics of transcriptional enhancers and chromosome topology in gene regulation. Development Growth and Differentiation 61:343-352.
総説.遺伝子の転写に際して,転写エンハンサーと染色体の立体構造がどのように関与するか.Hi-C 法の紹介.
Human genome には 400,000 のエンハンサーが存在するため,ヒトの典型的な遺伝子は 20 個のエンハンサーに制御されることになる (P1右中).
TAD の境界には,」CTCT (Zinc-finger DNA-binding protein CCCTF-binding factor)
が多くみられる.CTCF は絶縁体タンパク質として働く.ほとんどの CTCF 結合サイトは,リング状の SMC タンパク質複合体であるコヒーシンと一緒に存在し,両者は協力してゲノムを組織化する.このため,CTCF サイトの位置と向きは,ゲノム組織化の鍵となる(P3右上).
Zambalde et al. (2019)
Highlighting transcribed ultraconserved regions in human diseases. WIREs RNA. 2019;e1567
総説。転写される UCR (T-UCR) とがん細胞の関係に注目。Bejerano et al. (2004) が推定した、481 UCR (ultraconserved region) だけを対象。UCRs の 90% 以上が、正常な細胞で転写される。T-UCR の機能はわかっていない。
2018
Ayad LAK, Pissis SP, Polychronopoulos D. 2018.
CNEFinder: finding conserved non-coding elements in genomes. Bioinformatics 34:i743-i747.
2 種間でゲノムデータを比較して CNE を探索するツール CNEFinder (https://github.com/lorrainea/CNEFinder).
k-mer 法.既存の CNE 判定法 (alignment-based と alignment free methods; Pi743左中),データベースに言及.
ゲノムアライメントが不要な方法.
Berger MJ, Wenger AM, Guturu H, Bejerano G. 2018.
Independent erosion of conserved transcription factor binding sites points to shared hindlimb, vision and external testes loss in different mammals. Nucleic Acids Research 46:9299-9308.
保存的な転写因子結合部位の崩壊と形態形質変化の対応関係を明確にしようとした.
検証された 1154 転写因子モチーフ (Guturu et al 16) のセットを用いて,独立に形質が欠失した有胎盤類 3 系統で,多くの結合部位がそれぞれ独立に崩れていることを示す.これら,独立に生じた結合部位の崩壊は,以下と関連:
(1) イルカとマナティーでの後肢の欠失,
(2) ハダカデバネズミとホシバナモグラでの視覚の悪化
(3) サイとアザラシでの外部睾丸の欠失
Marcovitz et al. 16 は後肢欠失と同調して欠失した CNE を 15 個判定してる。Berger et al が判定した 80798 転写因子結合サイトのうち 15 個だけが、Marcovitz et al が判定した、独立に欠失した CNE とオーバーラップしていた (P9303右上).
CRIPSR/Cas を併用することで、著者らの方法は表現型と関連した cis-調節領域の詳細な分析を可能にすると主張 (P9307)。
BED ファイル 1 (変異が入った転写因子結合サイト:有胎盤類 57 種).
Table S2: イルカとマナティーで独立に結合サイトが崩壊している 80798 結合サイトのコーディネート (human hg19 に対応)。ほとんどは 10bp 以下と短い。
Table S3: シロサイ,アザラシ,イルカで独立に崩壊した 2696 結合サイトのコーディネート.
hg19 に合わせた 100 種の MULTIZ アライメント (UCSC) を用いる。
Berthelot C, Villar D, Horvath JE, Odom DT, Flicek P. 2018.
Complexity and conservation of regulatory landscapes underlie evolutionary resilience of mammalian gene expression. Nature Ecology & Evolution 2(1):152–163
哺乳類のエンハンサーとプロモータの進化研究によって,配列が保存的でなくても,種間で調節機能と 3D 構造が保持されている例を報告 (<Bravo et al 19).
Colwell M, Drown M, Showel K, Drown C, Palowski A, Faulk C. 2018.
Evolutionary conservation of DNA methylation in CpG sites within ultraconserved noncoding elements. Epigenetics 13:49-60.
脊椎動物 56 種の UCNEs で CpG サイトがどの程度保存されるか検証.UCNEs は UCNEbase (脊椎動物で >200nt length & >95% seq identity) からダウンロード.
Craig RJ, Suh A, Wang M, Ellegren H. 2018.
Natural selection beyond genes: Identification and analyses of evolutionarily conserved elements in the genome of the collared flycatcher (Ficedula albicollis). Molecular Ecology 27:476-492.
シロエリヒタキ (Ficedula albicollis) のゲノムから,1.28 million の CEs (conserved elements)を判定.それぞれの系統に特異的な適応に貢献した候補として,archosaur,鳥類, neoavian, passeridan それぞれの系統に特異的な,20 万以上の CE を判定.
機能的な配列の判定は,ゲノムスキャンや QTL マッピングで判定された形質座の遺伝的基盤を理解するのに重要.
PROGRESSIVE CACTUS を用いて,23 sauropsid 全ゲノムアライメントを作成.Supporting information から CE の bed file が得られる.
di lulio J, Bartha I, Wong EHM, Yu HC, Lavrenko V, Yang D, Jung I, Hicks MA, Shah N, Kirkness EF, et al. 2018.
The human noncoding genome defined by genetic diversity. Nature Genetics 50:333-337.
ヒトゲノムデータ (11,257 人) のみを用いて,ヒトゲノムで保存された領域を判定 (P337左上) し,マップを作成.このマップは,種間で保存された領域を示した伝統的なマップとは大きく異なっており,ゲノムでもっとも保存された領域内部で,調節領域を判定.Hi-C 実験データを用いて,必須遺伝子と関連した,もっとも保存された調節要素を 2Mb に渡り記述.
非コード領域で病気に関連した変異をまとめる (Supplementary Table 2).コーディネートと変異はあるが,どのような病気に関連するかの情報 (rs 番号) はない.
dbSNP を利用。
Hara Y, et al. 2018.
Shark genomes provide insights into elasmobranch evolution and the origin of vertebrates. Nat Ecol Evol 2:1761–1771.
UCNEbase からダウンロードしたニワトリ vs ヒト 4,351 CNEs が,脊椎動物の主要系統にどの程度存在するか,BLAST により検証 (Fig. 2, P3左上).真骨魚類 2 種よりはるかに多い CNEs をサメ 3 種で判定.
羊膜類ゲノムに存在する CNE の少なくとも半分は,すでに顎口類の祖先に存在 (Supplement P15).それらのほとんどは,現生脊椎動物の祖先に存在しなかったか,ヤツメウナギにつながる系統で二次的に欠失した,と示唆.
板鰓類 2 種で Tbx4 エンハンサー相同要素を発見 (Fig.2b).肺特異的な
Tbx4 エンハンサー相同要素を,肺のないサメ類で判定.軟骨魚類は肺も鰾もないことから,肺・鰾に関連した遺伝子制御は硬骨脊椎動物の系統だけで獲得されたと考えられていた.
Kostka D, Holloway AK, Pollard KS. 2018.
Developmental loci harbor clusters of accelerated regions that evolved independently in ape
lineages.Mol Biol Evol. 35(8): 2034–2045.
ヒトゲノムで進化速度が加速した領域のいくつかは,ヒト系統で蓄積した DNA 置換を含んだ CNE である.これら,ヒトで特異的に加速した領域 (HARs) は,調節遺伝子の近くに多く見られ,いくつかの HARs は発達遺伝子のエンハンサーとして機能する.この進化的な特性がヒトにユニークなものか検証するために,CNE で加速した置換が,ヒト,チンパンジー,ゴリラ,オランウータン,ギボンの系統でどれぐらいあるのか測定した.すると,系統特異的に加速した領域 (linARs) は,全ての類人猿で,同じぐらいの数で同様のゲノム領域分布していた.発達や転写因子に関連する遺伝子の近くに存在する linARs は,5 系統で共有されていた.
PHAST (Hubisz et al. 11) に含まれている phascon を用いて,CNE を判定 (Sup.Text P2).
発生遺伝子の近くに存在しており,系統特異的に加速した領域を,5 類人猿で見出す (< Hu et al. 2019).5917 linARs のコーディネートを報告 (Table S1).
Langer BE, Roscito JG, Hiller M. 2018.
REforge Associates Transcription Factor Binding Site Divergence in Regulatory Elements with Phenotypic Differences between Species. Molecular Biology and Evolution 35:3027-3040.
調節要素の順ゲノム学 (REforge, Regulatory Element forward genomics).REforge は,コンピューター解析によって,予想された調節要素内部に存在する転写因子結合サイトの多様性と,表現型の違いを種間で検出する.
REforge を実際のデータで検証.目に関係する転写因子の結合モチーフ (すでに知られている) を使う.このモチーフは,眼の悪い地下に生息する哺乳類では,結合サイトが顕著に多様化している.これらのゲノム領域が,マウスの眼組織で特に活性の高い調節要素で多く見られることを示す.さらにこれらの領域は,眼の発達に関連する遺伝子の近くに位置.ヒトの眼の病気にも関連すると示唆.つまり著者らのゲノムワイドなスクリーニングは,眼の制御要素で見られる広い多様性を検出したと主張.地下に生息する哺乳類で眼が退化することに貢献した調節領域を見出したとする.
Makino T, Rubin CJ, Carneiro M, Axelsson E, Andersson L, Webster MT. 2018.
Elevated Proportions of Deleterious Genetic Variation in Domestic Animals and Plants. Genome Biology and Evolution 10:276-290.
家畜化により有害な遺伝的変異が蓄積.家畜化された 5 つの動物のうち,ブタは野生種と交配していたので,ボトルネックの痕跡がなかった.
UCNEbase (Dimitrieva and Bucher 2012) を使用 (P279右下).
McCole RB, Erceg J, Saylor W, Wu CT. 2018.
Ultraconserved Elements Occupy Specific Arenas of Three-Dimensional Mammalian Genome Organization. Cell Rep 24:479-488.
In brief: UCEs (ultraconserved elements) の位置と 三次元ゲノム構成がランダムな関係ではないことを,Hi-C 研究によって哺乳類の核で示す.これらのコネクションは,ゲノムパッケージングとゲノムの機能と完全性の保持を取りまとめるのに役立つ,と示唆.
本文:UCE はシンテニーが保存された領域と関連 (P479右上).
Roscito JG, Sameith K, Parra G, Langer BE, Petzold A, Moebius C, Bickle M, Rodrigues MT,
Hiller M (2018)
Phenotype loss is associated with widespread divergence of the gene regulatory landscape in evolution. Nat Commun 9(1):4737.
ヘビの四肢欠失と,地中生活を送る哺乳類の眼退化が,ゲノム全体に広がった調節要素の多様化に起因することを示す.両者とも,転写因子結合サイトの配列が多様化が生じていた.退化した目を持つ哺乳類系統で、進化速度の加速した 9000 CNE を判定。これらの CNE は,眼の発達に関与する遺伝子の近くに位置.また,これら判定した CNEs は,ATAC-seq により,眼の CREs とオーバーラップすることを確認.また,マウス眼で得られた機能ゲノム解析の結果とも一致.
PhastCons によって,テグとマウスのアライメントから保存領域を判定.祖先と現生配列の違いを Prudent et al. (2016) の方法によって数値化.
ヘビ |
|
Boa constrictor |
Boa |
Python bivattus |
Burmese python |
地中生活を送る哺乳類 |
|
Chrysochloris asiatica |
Cape golden mole |
Condylura cristata |
Star-nosed mole |
Heterocephalus glaber |
Naked mole rat |
Nannospalax galili |
Blind mole rat |
Sharma V, Lehmann T, Stuckas H, Funke L, Hiller M. 2018.
Loss of RXFP2 and INSL3 genes in Afrotheria shows that testicular descent is the ancestral condition in placental mammals. PLoS Biology 16.
精巣下降 (testicular descent) は有胎盤類の祖先的形質と主張.精巣下降に関連する 2 遺伝子の有無を検証.
Sharma, V., Hecker, N., Roscito, J. G., Foerster, L., Langer, B. E., & Hiller, M. (2018).
A genomics approach reveals insights into the importance of gene losses for mammalian adaptations. Nature Communications, 9, 1215.
ゲノムアライメントに基づいて遺伝子の有無を判定する方法を開発.トランスクリプトームデータに含まれない偽遺伝子も検出できると主張 (Supporting Fig. 1 Legend).
意見:ゲノムアライメント法による遺伝子欠失判定は,ゲノム上の位置が変化した場合,あるいはオーノログが存在する場合,を考慮できない点が問題.
Sharma V, Hiller M. 2018.
Loss of Enzymes in the Bile Acid Synthesis Pathway Explains Differences in Bile Composition among Mammals. Genome Biology and Evolution 10:3211-3217.
胆汁酸合成 (Bile Acid Synthesis) に関わる遺伝子の有無を哺乳類系統で比較.ゲノムアライメント法 (Sharma et al. 2018) により遺伝子の有無を検証.
Tominaga H, Satoh N, Ueno N, Takahashi H. 2018.
Enhancer activities of amphioxus Brachyury genes in embryos of the ascidian, Ciona intestinalis. Genesis 56:e23240.
ナメクジウオ・ゲノム配列で、Brachyury エンハンサー活性をもつ領域を発見。
2017
Algama M, Tasker E, Williams C, Parslow AC, Bryson-Richardson RJ, Keith JM. 2017.
Genome-wide identification of conserved intronic non-coding sequences using a Bayesian segmentation approach. BMC Genomics 18:259.
ヒト,ネズミ,ゼブラフィッシュ間で,イントロンに保存された CNS を 655 個判定.UCSC からダウンロードした multiz 8-way アライメント (P11右下) をベイズ法によって解析.5 遺伝子について解析結果を UCNEbase と比較 (i745).
Edwards,S.V., Cloutier,A. and Baker,A.J. (2017)
Conserved non-exonic elements: a novel class of marker for phylogenomics. Syst. Biol., 66, 1028–1044.
CNEE (conserved nonexonic element) を鳥類主要系統の類縁関係推定に利用する.Coalescent approache.
オーソログ判定は,Jarvis et al (2015) のデータセットに依存 (P1032左中).オーソログ問題が未解決であることに,一言だけ言及? (P1040左上).
Harmston N, Ing-Simmons E, Tan G, Perry M, Merkenschlager M, Lenhard B. 2017.
Topologically associating domains are ancient features that coincide with Metazoan clusters of extreme noncoding conservation. Nat Commun 8:441.
TAD (Topologically associated domain) と GRB (Genomic regulatory blocks) は同じ現象か?
高度に保存された CNEs (conserved noncoding elements)
クラスターは,発達に含まれる遺伝子を含む領域の長さと関連がある (< McCole et al. 2018).
TAD については「進化研究を覗く:ゲノムの構造単位」を参照.
Infante, C. R., Rasys, A. M. & Menke, D. B. 2017.
Appendages and gene regulatory networks: Lessons from the limbless. Genesis, 56, e23078 (2017).
総説。ヘビ四肢欠失は100 Mya のイベントにも関わらず,四肢形成に関与するエンハンサーには関わらず失われていないものもある.これらはオスの外部生殖器における転写に関与すると示唆.トカゲ類で四肢の欠失は 50 回以上生じた (P5左上).
Huang YF, Gulko B, Siepel A. 2017.
Fast, scalable prediction of deleterious noncoding variants from functional and population genomic data. Nature Genetics 49:618-624.
LINSIGHT: 集団遺伝学的なデータから,ヒト・非コード領域に存在する有害な変異を,コンピューターを持ちて迅速に予測するソフトウェア.
意見:3 年間更新されていない.
Montalbano A, Canver MC, Sanjana NE. 2017.
High-Throughput Approaches to Pinpoint Function within the Noncoding Genome. Molecular cell. 2017; 68: 44–59.
CRISPR-Cas9 を用いて,エンハンサーと病気の関係を示す (< Tan et al 2019).
Monti, R. et al. 2017.
Limb-Enhancer Genie: an accessible resource of accurate enhancer predictions in the developing limb. PLoS Comput. Biol. 13, e1005720.
四肢形成に関わるエンハンサーのデータベースを作成。
Mumbach MR, Satpathy AT, Boyle EA, Dai C, Gowen BG, Cho SW, et al. 2017.
Enhancer connectome in primary human cells identifies target genes of disease-associated DNA elements. Nature genetics. 2017; 49: 1602–1612.
CRISPR-Cas9 を用いて,エンハンサーと病気の関係を示す (< Tan et al 2019).
Polychronopoulos D, King JWD, Nash AJ, Tan G, Lenhard B. 2017.
Conserved non-coding elements: developmental gene regulation meets genome organization. Nucleic Acids Research 45:12611-12624.
総説.
要旨:CNE の特徴や起源.病気との関連,欠失した場合の表現系など.左右相称動物ゲノムの比較から,クロマチン相互作用が頻繁に生じる TAD (topologically associated domain) の存在が指摘されている (P12613左上).TAD の境界領域は細胞型や種の間で普遍的.TAD の境界は GRB (genomic regulatory blocks) の境界と一致する (GRB-TADs) が,そうでない TAD (nonGRB-TADs) も存在する.Hi-C 実験による3D 構造と一致する可能性がある.
本文:多くの CNE 研究が脊椎動物に注目しているが,CNE は脊椎動物のイノベーションではなく多くの後生動物系統で見られる (P12613右下).CNE の特徴:i) 初期発生に重要な調節因子 (MEIS1や SHH,IRX3 など) の周りにクラスターを形成する.ii) CNE はゲノム構成を制御し,後生動物に広く見られる.これらの特徴は,後生動物ゲノムの間で CNE は広く見られ機能的に似ているため,CNE は起源が古く,後生動物の遺伝子制御に重要であることを意味する.
CNE には転写因子結合サイトが多く見られる.しかし,一般的なエンハンサーに比べて,CNE に転写因子結合サイトが多い,と言う証拠はない (P12651左中).
ヘビが四肢を失ったのは,四肢発生遺伝子を制御する CNE が一部か完全に失われたからである (P12618左下,Kvon et al. 2016; Leal and Cohn 2016).イトヨでは発生遺伝子 PITX1 を制御する CNE の欠損が腹鰭の縮小を導く.
マナティーとイルカで,前肢形態に関連した転写因子である EGR2 に近いCNS が欠失.欠失は両種に共通した肘構造の変異に何かの役割を演じると仮定される (P12618右上, Marcovitz et al. 2016).
真骨魚類で見られる高度な表現型多様性は,脊椎動物祖先 CNS の大規模な欠失と加速した置換速度と関連があるとされる (P12618右上, Lee et al. 2011).
タツノオトシゴは他の真骨魚類に比べて CNS を多数失っている (Lin et al. 2016).
CNE でもリクルートがあり,新しい CNE が古いものと入れ替わる (turnover).
ヒトで進化速度が加速した領域の存在.
CNE を in vivo (生体内で) で研究する方法の発達が必要 (P11618右下).
まとめ:ほとんどの CNEs は単一コピーだが (P12619左上,Bejerano et al. 2004),WGD 由来のコピーもある (McEwen et al. 2006).CNE 内部に存在する可能性のあるコンセンサスモチーフが,それらの機能に影響を及ぼすか不明.
TAD 構造は有糸分裂
の間,失われる.このことは,TAD は,細胞分裂の後で毎回,再構築されることを意味する.TAD の形成と維持のメカニズムは知られていない.GRB と TAD が一致することを考えると,CNE は TAD 形成に関与するかもしれない (P12619左中).
Saber M, Saitou N. 2017.
Silencing Effect of Hominoid Highly Conserved Noncoding Sequences on Embryonic Brain Development. Genome Biol Evol 9:2037-2048.
679 Hominoidea (ヒト上科:ヒト科とテナガザル科からなる) 特異的 CNS (HCNSs) を判定.HCNSs はヒト上科だけで共有される.HCNSs が系統特異的な表現型の進化に寄与したと考察.
HCNSs には純化淘汰が働くが,古い CNSs とは異なる系統特異的な特徴を持つ.ヒト上科共通祖先の進化過程で,HCNS 祖先配列の多くは塩基の置換,挿入,欠失速度が加速していた.このことは,正のダーウィン選択がこれら HCNS 形成に介入したことを示唆する.
エンハンサー要素とは異なるが,サイレンサー配列と同様に,ヒト上科特異的 HCNSs は,転写開始部位の近くに位置している.これら HCNSs の標的遺伝子は,神経システム,発達,転写に関わるものが多く,もっとも近くに存在するコーディング遺伝子から離れて存在する傾向がある.Chip-seq シグナルと遺伝子発現パターンから,ヒト上科特異的 HCNSs は,機能調節要素のように考えられ,胎児脳発達の期間に組織特異的に標的遺伝子の発現を抑える効果 (silencing effect) を持つように見受けられる.
適応進化を通して出現し,純化選択を通して保存されたこれら HCNSs は,ヒト上科特異的表現型の進化研究に有望なターゲットである.
Threthold: ヒトゲノム配列をクエリとして,E value of 10-5 (p2141左上), 100 bp.Neutral evolution threthold (Saber and Saitou 2017) を使用.
Sequence/Alignment: Supplement Data から 679 HCNSs 配列 (ヒトの配列のみ) がダウンロード可能.
2016
Babarinde IA, Saitou N. 2016.
Genomic Locations of Conserved Noncoding Sequences and Their Proximal Protein-Coding Genes in Mammalian Expression Dynamics. Mol Biol Evol. 33:1807–17. 日本語.
哺乳類・CNS の進化.CNS のゲノム上の位置 (近傍遺伝子までの近さではない) が,その遺伝子発現調節機能にとって重要と示唆.ニワトリと哺乳類 4 種 (ヒト,マウス,イヌ,ウシ) で保存される CNS を 〜20,000 個判定 (P1814左上).
遺伝子間領域に存在する CNS は,遺伝子砂漠のような領域でしばしばクラスターを形成.
分布パターン,ChIP-Seq, RNA-Seq データから,CNS は lncRNA (long noncoding RNA) ではなく,調節要素の可能性が高いと示唆.
CNS と最も近い遺伝子の距離は,ヒトとマウスのゲノム間で保存的.CNS の側にある遺伝子は,遺伝子配置が保存された領域に存在.
ChIP-Seq シグナルと遺伝子発現パターンは,CNS は近傍の遺伝子を制御すると示唆.
多くの CNS を持つ遺伝子は,少ない CNS を持つ遺伝子よりも,進化的に保存された発現を持つ (発現部位が固定されてる).
これまでのエンハンサー活性や染色体間にわたる制御の研究例では,CNS とタンパク質コーディング領域の距離は,制御に関連しないと考えられていた.
近接遺伝子をターゲットとしない CNS は稀と示唆 (P1815左中).このため,ゲノム欠失実験によって表現型の変化が観察されると予測.
Threthold: 哺乳類 vs ニワトリ間では塩基多様度が顕著に大きいため (同義置換率>1),threthold に特定の % を用いていない (P1808左下).このため,CNS は,非コーディング領域で,ニワトリ vs 哺乳類 4 種間で 100bp 以上の長さ保存される領域と定義.
Sequence/Alignment: CNSs アライメントの配信はない.
Booker BM, Friedrich T,Mason MK,VanderMeer JE, Zhao J, EckalbarWL, LoganM, Illing N, Pollard KS, Ahituv N. 2016.
Bat accelerated regions identify a bat forelimb specific enhancer in the HoxD locus. PLoS Genet. 12(3): e1005738.
コウモリで加速した 166 領域を判定.これらの領域は,マウスの四肢形成に関わるエンハーサーと重なる.それらの一つは,四肢の形成に重要な HoxD の発現制御に関連すると予想 (< Hu et al. 2019; Roscito & Hiller 19).
コウモリ翼の進化は,コウモリ類で特異的に加速した CREs と関連.この CREs はHoxD 遺伝子などを調節.レポーターアッセイによって,これらの CREs 配列は,しばしば四肢の発達に関係する発現パターンを司ることを示す.マウスのオーソロガス配列と比較 (< Rostico and Hiller 19).
ChikinaM, Robinson JD, Clark NL. 2016.
Hundreds of genes experienced convergent shifts in selective pressure in marine mammals. Mol Biol Evol. 33(9): 2182–2192.
海生哺乳類で加速したタンパク質遺伝子を特定 (<Hu et al. 2019).
Dong,X., Wang,X., Zhang,F. and Tian,W. (2016)
Genome-wide identification of regulatory sequences undergoing accelerated evolution in the human genome. Mol. Biol. Evol., 33, 2565–2575.
ヒトで加速した CNS。
Guturu,H., Chinchali,S., Clarke,S.L. and Bejerano,G. (2016)
Erosion of conserved binding sites in personal genomes points to medical histories. PLoS Comput. Biol., 12, e1004711.
Berger et al. (18) で用いた 1154 保存転写因子結合部位を推定。
Herrero,J., Muffato,M., Beal,K., Fitzgerald,S., Gordon,L., Pignatelli,M., Vilella,A.J., Searle,S.M.J., Amode,R., Brent,S. et al. (2016)
Ensembl comparative genomics resources. Database, 2016, 1–17.
Ensembl compara の紹介.ゲノムアライメントの方法に言及.
Hettiarachchi N, Saitou N. 2016.
GC Content Heterogeneity Transition of Conserved Noncoding Sequences Occurred at the Emergence of Vertebrates. Genome Biol Evol 8:3377-3392. Link.
菌類,無脊椎動物,非哺乳類の脊椎動物 (哺乳類は B&S13 で推定済み) それぞれの系統で CNS (高度に保存された非コード塩基配列) を比較し,無脊椎動物に比べて脊椎動物は GC 含量が低いと指摘.GC 含量は,転写因子の結合に関わるため,脊椎動物での GC 含量低下は,脊椎動物の出現と関連があると考察.CNS の GC 含量は,ヌクレオソームを形成する部位と密接な関連がある.それぞれの系統で共有される CNS 数 (Table2).
菌類 14 種,無脊椎動物 19 種,非哺乳類脊椎動物 12 種を比較.
脊椎動物で,組織特異的な暑現,転写,発生に関する転写因子結合サイトは GC 含量が低く,SP1 や NRF1, E2F6 など遍在する転写領域の結合サイトは GC 含量が多いと指摘 (P3390左中).
GC 含量は,ゲノム上での CNS の位置に直接関与 (p3390右中).GC 含量の低い CNS はクロマチンが開いた領域にあり,GC 含量の高い CNS はヌクレオソーム内に存在.クロマチンが開いた領域に存在する CNS には転写因子が容易にアクセスでき,クロモソーム構造内にある CNS は,この領域がコイルをまく性質があるためアクセスしにくい.いくつかの結合領域は,その適切な制御のためにコイル状になったヌクレオソーム内部に位置する必要がある.
Threthold: Diptera, Lepidoptera, Hymenoptera, Nematode, non-mammalian vertebrates それぞれ内部で共通する CNS 探索で,E value threthold 0.001 (p3378左下).
Sequence/Alignment: Supplementary materials がダウンロードできない.
Holloway AK, Bruneau BG, Sukonnik T, Rubenstein JL, Pollard KS. 2016.
Accelerated evolution of enhancer hotspots in the mammal ancestor. Mol Biol Evol. 33(4): 1008–1018.
獣類 (Theria) の根幹で進化速度が加速した 4797 領域 (TSARs, Therian-Specific Accelarated Regions) を判定 (P1009左下).祖先で加速したが,これらの領域は現生種で共有されている.それらの領域の多くが非コード領域であり,発生関連の転写因子であった (<Hu et al. 2019)。遺伝子組み換えレポーターアッセイによって、これら加速した CNE のいくつかは、母乳分泌や子宮収縮、中枢神経系発達、のホルモンコントロールなど、哺乳類一般に見られる形質に関連することを示す (<Roscito and Hiller 19).TSAR 領域をリスト (Table S1).
表現型変化をもたらした要因となるゲノム配列変異を見出す方法: (1) 進化速度が加速した領域を見出す.(2) 保存的な領域を見出すか,これらが系統別に欠失した痕跡を見出す (P108 左下).TSARs は,ゲノムアライメントを phyloP と phastCons を用いて解析して得た (1009左下).
Indjeian,V.B., Kingman,G.A., Jones,F.C., Guenther,C.A., Grimwood,J., Schmutz,J., Myers,R.M. and Kingsley,D.M. (2016)
Evolving new skeletal traits by cis-regulatory changes in bone morphogenetic proteins. Cell, 164, 45–56. AASJ.
GDF6 調節領域を得ることで,淡水に侵入したトゲウオは,オリジナルである海水型トゲウオより外骨格を小さくできたと指摘.CNE の欠失によって,ヒトで足の指が短くなる例を示す (Polychronopoulos et al. 17).
海水と淡水に生息するトゲウオのゲノムを比較し,外骨格の長さ・幅と相関する 82 SNP を特定.このうち 2 領域に多型が見られた GDF6 遺伝子 (BMP [骨形態形成タンパク質] ファミリー) に注目.実際にGDF6 調節遺伝子を,遺伝子導入した海水トゲウオでは,鱗板が小さくなり,数も少なくなった.淡水型トゲウオには,調節領域には,LINE が入っており,これがエンハンサー活性を示すと結論.海水型トゲウオには,この LINE はないことから,淡水型トゲウオは,この LINE タイプのエンハンサーを得ることで,鱗板の縮小化に成功した事になる.この LINE からなるエンハンサー領域は 6kbp に及ぶ (Table S6 in excel file).
同じ GDF6 遺伝子だが,異なるエンハンサー,hCONDEL.305 (492bp) と hCONDLE.306 (5775bp), が人間だけで欠失することを発見.チンパンジーに存在する調節領域をマウスに遺伝子導入すると,足の 5 番目の指で発現を誘導することを確認.GDF6 調節領域の変化が,木登りから二足歩行に至る過程で,ヒトの足の指を短くしたと考察.
Kvon,E.Z., Kamneva,O.K., Melo,U.S., Barozzi,I., Osterwalder,M., Mannion,B.J., Tissi`eres,V., Pickle,C.S., Plajzer-Frick,I., Lee,E.A. et al. (2016)
Progressive loss of function in a limb enhancer during snake evolution. Cell, 167, 633–642. 日本語の解説: 1, 2,
ヘビゲノムの比較から,ヘビがどのようにして脚を失ったのか,そのメカニズムに迫る.ZRS (Zone of Polarizing Activity [ZPA] Regulatory Sequence) というエンハンサー配列に着目.ZRS は脊椎動物では保存されているが,ヘビでは 17bp 欠失があることを発見.この部位が,転写因子の結合部位となっていることも示す.マウスゲノムにある ZPA エンハンサーを,ヒトや魚のオーソログと交換しても通常の四肢が形成されたが,ヘビの ZPA エンハンサーだと四肢形成が極度に悪かった.
ZRS は手足で特異的に活性化するエンハンサーであり,Sonic hedgehog (Shh) という遺伝子の発現を制御する.
パイソンやコブラなどヘビ数種を含めた種系統樹に,ZRS 置換率を枝長に反映させると,派生的なヘビであるコブラの枝が極端に長い (Fig. 1C).原始的なボアやパイソンの枝は,長くない.枝長の違いは one-sided permutation test (並べかえ検定)で比較 (e3上).
Leal F, Cohn M. 2016.
Loss and re-emergence of legs in snakes by modular evolution of Sonic hedgehog and HOXD
enhancers. Curr. Biol., 26, 2966–2973.日本語の解説:2,
ヘビの胚発生を観察.手足の形成に重要な ZRS の活性と Sonic Hedgehog の発現に注目.原始的なヘビの種類では,非常に小さい後ろ足が体内に形成される.つなり,ヘビ類では,足の形成メカニズムが完全に失われたわけではない.原始的なヘビであるパイソンを用いて,Shh の発現が発生とともにどのように変化するか調査.その結果,Shh は一時的に発現するが,肢の形成は途中で止まることを解明.
ZRS の配列を比較.パイソンで 3 箇所の変異を検出し,これらがエンハンサーの機能を阻害することを示す (日本語の解説 2 より).
パイソンを含むヘビ複数種やイグアナなどで,後肢の骨を比較し,種系統樹 (枝長は意味なし) にマップ (Fig. 4G).
Lin et al. 2016.
The seahorse genome and the evolution of its specialized morphology. Nature, 540, 395-399.
タツノオトシゴは他の真骨魚類にくれべて CNS を多数失っている.
Marcovitz,A., Jia,R. and Bejerano,G. 2016.
“Reverse genomics” predicts function of human conserved noncoding elements. Mol. Biol. Evol., 33, 1358-1369.
マナティーとイルカで,前肢形態に関連した転写因子である EGR2 に近い哺乳類の CNS が欠失 (P1365左中).欠失は、両種に共通した肘構造の変異に何かの役割を演じるとされる (< Polychronopoulos et al. 2016, P12618右上).Morphobank から作成された哺乳類の形態的,生理的な形質 (O'Leary et al. 2013) を利用。形態形質がデータ化され、ゲノムデータが公開されている哺乳類 20 種を利用。
有胎盤類の独立した系統で 2 か 3 回欠失したヒト CNEs (IL-CNEs) を判定。
IL-CNE と形態形質を系統樹にマッピングし、両者が一致する例を 2759 を見出す。
CNE は近接する遺伝子の発現を調節することが多いと仮定.McLean et al. (2010) を引用 (P1362左中).調節の仕組みがわかれば,この仮定が確からしいことがわかるだろう,と主張 (P1365右下).
哺乳類で共有される 266,115 CNE を判定し、ヒトゲノム・コーディネート (Table S4) を公開.
コメント:Berger et al. (18) では (P9303左上),独立に欠失した CNS が,独立に崩壊したした転写因子結合領域を比較.独立に崩壊したした 80798 転写サイトのうちわずか,15 個だけが,2 種で独立に CNS が欠失していた.Foote et al. (2015) は,海洋哺乳動物共通に見られるアミノ酸変異を 44 遺伝子で発見(Nishikawa 15).
配列多様性と形態変化の関係を検証:ヒト vs 他の哺乳類でBLAST 解析を行い,配列多様性を測る (<Roscito and Hiller 19).
Ngai N, Saitou N. 2016.
The effect of perfection status on mutation rates of microsatellites in primates. Anthropological Science.
Prudent X, Parra G, Schwede P,Roscito JG,HillerM (2016)
Controlling for phylogenetic relatedness and evolutionary rates improves the discovery of associations between species’ phenotypic and genomic differences. Mol Biol Evol 33(8):2135–2150.Marcovitz
表現型と進化速度変異を結びつける branch method を開発.祖先配列を推定し,現生配列がどれぐらい違うのか数値化し,進化速度が加速した枝を判定 (< Roscito & Hiller 19)。ゲノムアライメント作成 (P2143右下).開発した方法を,それぞれ独立に視覚を失った blind mole rat (Spalax galili, nanGal1) と cape golden mole (chrAsi1, )に適用 (Roscito et al. 2018).
CNE ではなく遺伝子の解析を行う。
プログラムは GitHub からダウンロード可能。
Saber MM, Adeyemi Babarinde I, Hettiarachchi N, Saitou N. 2016.
Emergence and Evolution of Hominidae-Specific Coding and Noncoding Genomic Sequences. Genome Biol Evol 8:2076-2092.
ヒト,チンパンジー,ゴリラ,オランウータンのゲノムを調査し,1131 ヒト科 (Hominidae) 特異的 CNS (HCNSs) を発見 (P2085左中,公開されている 1658 のうち 527 は gibbon と rhesus にも存在,).4 種間で対応する配列は存在するが,ヒト科の共通祖先では高い置換率が存在したと指摘.厳しい純化淘汰の前に,ある種の正の選択が存在したと主張.
ダウン症重要領域 4 (DSCR4) 遺伝子をヒト科特有と判定.
他のすべてのタンパク質と構造上の相同性がない.
ヒト科特異的 CNS は,音の感覚認知や発生過程に関する遺伝子の近傍にあり,ヌクレオソーム存在確率 (nucleosome occupancy probability: ヌクレオソームを形成しない部位である確率) が高かった.
この研究の結果では,ヒト科特異的な HCNS に比べてヒト科特異的な遺伝子は少なかった.このことは,ヒト科特異的表現型を司るのは,新たな遺伝子ではなく調節因子と考察 (P2077右下, P2090左下).
ヒト科特異的遺伝子の判定は,Ensembl Compara pipeline や,INPARANOID, TreeFam, PhylomeDB, OrthoDB のオーソロジー予想データベースを使用 (Fig.1).
ヒト科特異的 CNS が、調節配列として機能する裏付け:ヌクレオソーム位置解析では,ヒト科特異的 CNS ではヌクレオソームが形成されにくいと示唆 (p2089).調節配列はヌクレオソーム効果が減少するという報告がある.
Threthold:ヒト化と近縁種間の短い分岐時間を考え,厳しい threthold を採用.100% similarity (E value of 10-5, p2080左上, p2089左下), 100 bp.この論文で用いた Neutral evolution threthold (コードと非コードゲノム配列を用いて推定) を Saber and Saitou (2017) が使用.
Sequence/Alignment: Supplement material から 1659 HCNSs アライメント (Saber_HS_HCNS_alignments.txt) がダウンロード可能.
Warnefors,M. et al. 2016.
Combinatorial gene regulatory functions underlie ultraconserved elements in Drosophila. Mol. Biol. Evol., 33, 2294–2306.
k-mer を使った alignment-free の CNE 探索法を提案.
Wright JB, Sanjana NE. 2016.
CRISPR Screens to Discover Functional Noncoding Elements. Trends in Genetics. 2016; 32: 526–529.
総説.CRISPR-Cas9 を用いて,エンハンサーと病気の関係を示す (< Tan et al 2019).
Yang J, Guo B, Shikano T, Liu X, Merila J. 2016.
Quantitative trait locus analysis of body shape divergence in nine-spined sticklebacks based on high-density SNP-panel. Scientific Reports 6:26632. Link.
イトヨの形態形質に関わる SNP (Table S1).
Yue JX, Kozmikova I, Ono H, Nossa CW, Kozmik Z, Putnam NH, Yu JK, Holland LZ. 2016.
Conserved Noncoding Elements in the Most Distant Genera of Cephalochordates: The Goldilocks Principle. Genome Biology and Evolution 8:2387-2405.
頭索動物内部でもっとも系統的に離れている Asymmetron lucayanum と Branchiostoma floridae の間で、113,000 CNS を判定。このうち 8 CNS が脊椎動物でも共有 (Fig. S4-S11)。
CNS は GitHab から download 可能。
タイトルは、ゴルディロックスの原理 (link)から (P2388左下).ゴルディロックスは後に書かれたレビュー (Holland 2015) でも利用.
2015
Gittelman,R.M., Hun,E., Ay,F., Madeoy,J., Pennacchio,L., Noble,W.S., Hawkins,R.D. and Akey,J.M. (2015)
Comprehensive identification and analysis of human accelerated regulatory DNA. Genome Res., 25, 1245–1255.
ヒトで進化速度が加速した CNE (Table 2)。
Infante,C.R., Mihala,A.G., Park,S., Wang,J.S., Johnson,K.K., Lauderdale,J.D. and Menke,D.B. (2015)
Shared enhancer activity in the limbs and phallus and functional divergence of a limb-genital cis-regulatory element in snakes. Dev. Cell, 35, 107–119.
羊膜類の四肢とオス性器は形態が大きく異なるが,マウスとアノールリザードの間でこれらの構造物が,発生の間に多くのエンハンサーを共有することを示す.マウスの後肢と尿生殖器の発達の間に,Tbx4 遺伝子座の HLEB 要素がシスエレメントに重要な役割を果たす (P107右下).哺乳類,鳥類,カメ,squamates から得た HLEB 領域配列のアライメント (Fig. S7).
ヘビの後肢欠失は、四肢の発達に関わる遺伝子を調節する CNEが一部か全て失われているために生じる (< Polychronopoulos et al 17)。
JohnsonMB, Wang PP, Atabay KD,Murphy EA, Doan RN,Hecht JL,Walsh CA. 2015.
Single-cell analysis reveals transcriptional heterogeneity of neural progenitors in human cortex. Nat Neurosci. 18:637–646.
Transcriptional profiling とともに Forward Genomics のアプローチを採用。gyrencephalic mammals で保存され、lissencephalic mammals で多様化したノンコーディング RNA を探すことで、Folded brain の進化に重要な役割を演じた ノンコーディング遺伝子を検出 (< Prudent et al. 2016)。
Naville, M.; Ishibashi, M.; Ferg, M.; Bengani, H.; Rinkwitz, S.; Krecsmarik, M.; Hawkins, T.A.; Wilson, S.W.; Manning, E.; Chilamakuri, C.S.R.; et al. 2015
Long-range evolutionary constraints reveal cis-regulatory interactions on the human X chromosome. Nat. Commun. 2015, 6, 6904
配列保存性に加えて、シンテニーの進化的な非常に長い保存性を用いて、CRE と標的遺伝子を判定 (Mann and Bahtia 2019)。そういう判定は少ないらしい。
Simakov O, Kawashima T, Marletaz F, Jenkins J, Koyanagi R, Mitros T, Hisata K, Bredeson J, Shoguchi E, Gyoja F, et al. 2015.
Hemichordate genomes and deuterostome origins. Nature 527:459–465.
Deuterostomes 5 系統で保存された 6533 CNE を判定 (P2右下、Supp Note 8)。
Villar D, Berthelot C, Alridge S, Rayner TF, Lukk M, Pignatelli M, Park TJ, Deaville R,
Erichsen JT, Jasinska AJ, Turner JM, Bertelsen MF, Murchison EP, Flicek P, Odom DT.
2015.
Enhancer evolution across 20 mammalian species. Cell 160(3):554–566
哺乳類のエンハンサーとプロモータの進化研究によって,配列が保存的でなくても,種間で調節機能と 3D 構造がが保持されている例を報告 (<Bravo et al 19).
Zhang,F. and Lupski,J.R. (2015)
Non-coding genetic variants in human disease. Hum. Mol. Genet., 24, R102–R110.
GWAS SNPS は CNS に存在 (<Polychronopoulos et al. 2017)。
Maurano,M.T., Humbert,R., Rynes,E., Thurman,R.E., Haugen,E., Wang,H., Reynolds,A.P., Sandstrom,R., Qu,H., Brody,J. et al. (2012)
Systematic localization of common disease-associated variation in regulatory DNA. Science, 337, 1190–1195.
GWAS SNPS は CNS に存在 (<Polychronopoulos et al. 2017)。
2014
Bhatia S, Monahan J, Ravi V, Gautier P, Murdoch E, Brenner S, van Heyningen V, Venkatesh B, Kleinjan DA. 2014.
A survey of ancient conserved non-coding elements in the PAX6 locus reveals a landscape of interdigitated cis-regulatory archipelagos. Dev Biol. 387:214–228.
ある種の CNS は最も近くに位置する遺伝子の制御に関わることを,コンピューター解析から指摘 (< Babarinde and Saitou, 2013).
Gokhman D, Lavi E, Pr€ufer K, et al. 2014.
Reconstructing the DNA methylation maps of the Neandertal and the Denisovan. Science (New
York, NY). 2014;344(6183):523–527.
ネアンデルタール人とデニソワ人ゲノムでメチル化マップを作成。
Hettiarachchi N, Kryukov K, Sumiyama K, Saitou N. 2014.
Lineagespecific conserved noncoding sequences of plant genomes: their possible role in nucleosome positioning. Genome Biol Evol. 6:2527–2542.
植物で,CNS が系統特異的な表現型に関わることを示す.
Hubisz MJ, Pollard KS. 2014.
Exploring the genesis and functions of Human Accelerated Regions sheds light on their role in human evolution. Curr Opin Genet Dev 29:15–21.
ゲノムスクリーンによって、チンバンジーや他の哺乳類では保存的だが、ヒトでは置換速度が加速しているか欠失している noncoding regions (ncHAR) を検出 (< Prudent et al. 2016)。コーディネート (>2700 CNEs) をエクセルファイルに保存。
Kircher,M., Witten,D.M., Jain,P., O’Roak,B.J., Cooper,G.M. and Shendure,J. (2014)
A general framework for estimating the relative pathogenicity of human genetic variants. Nat. Genet., 46, 310–315.被引用回数 2833 (25 Sep 2018).
CADD の原著論文.ヒト vs 類人猿のゲノムアライメントを Ensembl EPO (Herrero et al. 2016) から用いている.
Lopez-Rios J, Duchesne A, Speziale D, Andrey G, Peterson KA, Germann P, Unal E, Liu J, Floriot S, Barbey S, Gallard Y, Muller-Gerbl M, Courtney AD, Klopp C, Rodriguez S, Ivanek R, Beisel C, Wicking C, Iber D, Robert B, McMahon AP, Duboule D, Zeller R (2014)
Attenuated sensing of SHH by Ptch1 underlies evolution of bovine limbs. Nature 511(7507):46–51.
シスエレメントの変化が脊椎動物の形態進化と関連した例.偶蹄目の指パターンはソニックヘッジホッグ受容体遺伝子 Ptch1 の cis 領域が変化することで生じる.Ptch1 exon 17 上流に存在する Region A 領域 (Fig. 5a) のアライメント (Extended Data Figure 6a)。
>Human_regionA-Ptch1
ACTGGCGTGTTTATAACAAACACAGTTCTGCAGATGGCCCAGGAATTGGC
>Bovine_regionA-Ptch1
ATCGGCATGTTTATAACACACATACACACACACACACACAGTTCGGCAGAT
GGCCCAGGAATTGAC
Polychronopoulos D et al. 2014a
Classification of selectively constrained DNA elements using feature vectors and rule-based classifiers. Genomics, 104, 79-86.
Polychronopoulos D, Sellis D, Almirantis Y. 2014b
Conserved noncoding elements follow power-law-like distributions in several genomes as a result of genome dynamics. PLoS One 9:e95437.
CNS 間の距離がベキ法則に従う.
Rands et al 2014
8.2% of the Human genome is constrained: variation in rates of turnover across functional
element classes in the human lineage. PLoS Genet. 10:e1004525.
ヒトゲノムの 8% が負の淘汰に晒されており,機能的らしいと示唆 (<Saber et al. 2016).
Seridi L, Ryu T, Ravasi T. 2014.
Dynamic epigenetic control of highly conserved noncoding elements. PLoS One 9:e109326.
Silla,T., Kepp,K., Tai,E.S., Goh,L., Davila,S., Catela Ivkovic,T., Calin,G.A. and Voorhoeve,P.M. (2014)
Allele frequencies of variants in ultra conserved elements identify selective pressure on transcription factor binding. PLoS One, 9, e110692.
淘汰圧は、CNE 配列全体ではなく、個々のサイトにかかる主張。CNS が高度に保存的な理由が、転写因子結合サイトが内部に存在する、というだけでは十分ではない。転写因子結合サイトは入り混じっており、配列も種間で異なっているためである (<Polychronopoulos et al. 2017)。
Zhang G, et al. 2014
Comparative genomics reveals insights into avian genome evolution and adaptation. Science 346(6215):1311–1320.
独立したトリ系統でみられる音声学習は CNEs の並行的な加速と関連.この CNEs は,脳の song nuclei で発現する遺伝子の調節に関与するらしい.言語発現に関係する FoxP1 遺伝子などを含む.
Sytl2 遺伝子上流領域のアライメントを言語学習するトリとしないトリで比較 (Fig. S28, Supple P29中段).
>Sytl2_ypstream_FigS26
GAACAGTGAAGAAAAACCTGGTGCCTTCACCAAAACAAGAACCCCCTACA
アライメントの作成に phastCons を利用.
意見:FOXP2 (wiki) はヒトの発達性言語協調障害 (Vargha-Khadem et al. 05) やコウモリの反響定位 (Li et al. 07) と関連.上記 SYTL2 上流配列は鳥類特異的な配列の模様 (dbCNS 解析).
2013
Arbiza,L., Gronau,I., Aksoy,B.A., Hubisz,M.J., Gulko,B., Keinan,A. and Siepel,A. (2013)
Genome-wide inference of natural selection on human transcription factor binding sites. Nat. Genet., 45, 723–729.
転写因子結合サイトは,タンパク質コード遺伝子やエンハンサーよりも保存的でない.
Babarinde IA, Saitou N. 2013.
Heterogeneous tempo and mode of conserved noncoding sequence evolution among four mammalian orders. Genome Biol Evol. 5:2330–2343.
脊椎動物主要 4 目 (primates, rodents, carnivores, cetartiodactyls) 間で CNS の量を比較.4 系統間では,primates で最も多く,rodents で最も少ない.
ヒトとイヌでは 19% の CNS が異なるゲノム領域に存在.CNS がもし遺伝子制御に関わるなら,CNS の位置変異は 4 目それぞれに特異的な表現型の形成に重要な役割を担うと考察.
本文:判定した CNS 数は以下 (P2334 右中):
CNS 数 |
Primates |
Rodents |
Carnivores |
Cetartiodactyls |
Whole coding threshold |
861,183 |
148,848 |
491,078 |
257,051 |
skip3 threshold |
323,351 |
62,985 |
220,009 |
130,381 |
その他: 哺乳類系統に特異的な CNS は,CNS の周辺に存在する遺伝子の制御に重要と示唆 (< Babarinde and Saitou 2016).
CNS は遺伝子に対し,常にホモロガスな位置ではないと指摘 (<B&S16).例えば,ある種では CNS が遺伝子間に存在するが,他の種ではイントロンに存在.
霊長類は,他の系統に比べて多くの種特異的な CNE を得たようだ (Polychronopoulos et al 2017).
Chen S, Krinsky BH, Long M. 2013.
New genes as drivers of phenotypic evolution. Nat Rev Genet. 14:645–660.
総説.
De Silva,D.R., Nichols,R. and Elgar,G. (2014)
Purifying selection in deeply conserved human enhancers is more consistent than in coding sequences. PLoS One, 9, e103357.
1000 ゲノムのヒト多様性データを用いて,CNSが純化選択に晒されているか検証 (<Polychronopoulos et al 17).
Dimitrieva S, Bucher P. 2013.
UCNEbase--a database of ultraconserved non-coding elements and genomic regulatory blocks. Nucleic Acids Research 41:D101-109.
データベースのコラムを参照.
Domene,S., Bumaschny,V.F., de Souza,F.S.J., Franchini,L.F., Nasif,S., Low,M.J. and Rubinstein,M. (2013)
Enhancer turnover and conserved regulatory function in vertebrate evolution. Philos.Trans. R. Soc. Lond. B Biol. Sci., 368, 20130027.
Enhancer turnover (<Polychronopoulos et al. 17).脊椎動物の系統樹にマッピング (Fig.6).
Harmston N, Baresic A, Lenhard B. 2013.
The mystery of extreme non-coding conservation. Philosophical Transactions of the Royal Society of London. Series B: Biological Sciences 368:20130021.
総説.
本文: CNE の保存基準は 2 つ: (i) 種間の最低 sequence identity,(ii) この identity score が続く最低の長さ (P1下).
遠縁になると共有される CNE の数も急激に少なくなる.ヒト vs ウミヤツメでは 76 NCE (MacEwen et al. 2009),ヒト vs ナメクジウオでは 56 CNE (Hufton et al. 2009).
Hiller M, Agarwal S, Notwell JH, Parikh R, Guturu H, Wenger AM, Bejerano G. 2013.
Computational methods to detect conserved non-genic elements in phylogenetically isolated genomes: application to zebrafish. Nucleic Acids Research 41:e151.
Roscito et al (2018) で採用された CNE (conserved non-coding elements) の判定方法。
Jolma,A., Yan,J., Whitington,T., Toivonen,J., Nitta,K.R., Rastas,P. Morgunova,E., Enge,M., Taipale,M., Wei,G. et al. (2013)
DNA-binding specificities of human transcription factors. Cell, 152, 327–339.
Matsunami M, Saitou N. 2013.
Vertebrate paralogous conserved noncoding sequences may be related to gene expressions in brain. Genome Biol Evol. 5:140–150.
シンテニーブロックに対する BLAST 検索によって,脊椎動物のオーソロガス CNS 7924 個,パラロガス CNS 309 個 (Table S2) を見出す.VISTA 解析と ChiP-seq データから,このうち 103 パラロガス CNS が脳での遺伝子発現に関与すると示唆.ゲノム上の位置も,脳や神経で発現する遺伝子に近いものが多い.以上の結果から,パラロガス CNS は,脊椎動物の脳で発現する遺伝子を保持するために保存された,と示唆.
Nakatani et al. (2007) で判定された conserved vetebrate linkage (CVL) 領域を,シンテニーブロックと見なした.オーソログ情報は Ensembl から.ヒトとマウスのオーソロガスブロックを BLAST で比較し (>100bp length, >78% similarity),67052 CNS を判定 (avg 318bp).このうち 7650 CNS が 6 脊椎動物 (イヌ,ウシ,オポッサム,ニワトリ,トカゲ,カエル) で保存されているか検証.CNS 同士で BLAST 解析し,パラロガス CNS を判定.
脊椎動物 8 種で共有される 7650 CNS データはゲノム上の位置で表示.配列は公開されず (Table S1).
Genomic regulatory block hypothesis (P146右中): シンテニーブロック間を超えて散らばった CNS が,シンテニーが崩れるのを阻止.この仮説によると,パラロガス CNS がパラロガス・保存シンテニーを保持することになる.本研究ではこれを支持:多くのパラログを含むパラロガス・シンテニーブロックが,多くのパラロガス CNS を含んでいた.このことから,パラロガス CNS は,シンテニーブロックを保持すると考察.
Lancelet などに比べて脊椎動物で多くの CNS が見られる.これらは,脊椎動物の特徴に貢献したと示唆 (P149左上).
2R WGS の進化的な歴史と影響の解析を目指す.
同じ染色体上に存在するオーノログ・ペアも報告 (Table S2, SB27SB28DP222 など)。
Sequence/Alignment: ヒト vs マウス CVS 座標 (Table S1, S2).
Nelson AC, Wardle FC. 2013.
Conserved non-coding elements and cis regulation: actions speak louder than words. Development 140:1385-1395.
総説。種間で保存された遺伝子発現は、phylotipic stage の特徴である、という主張 (P1385右上)。
要旨: 保存的非コードゲノム配列は,近隣の遺伝子に対し cis 調節として機能すると信じられている.しかしそれは,本当だろうか? このレビューでは,CNSが,異なる種あるいは異なる発生ステージで,遺伝子の発現をどの程度同等に調節するのか議論する.どのようにして,ゲノムアプローチが,配列保存性と cis-調節要素の機能的な利用の関係を明らかにするのか.
結論:CRM (cis-regulatory module) には,配列レベルで 2 タイプある:(1)高度に保存的で複数種からなるゲノムアライメントから検出できるもの。(2) 多くの TFBSs (転写因子結合サイト) の存在のみで定義されるもの (Takahashi et al. 1999, Brachyury など).配列解析だけで検出できない CRM を直接判定する方法は,ChiP や DNase hypersensitivity などがある.これらと配列解析を組み合わせるべき.あらゆる CNE と cis 調節の関係は,オーソロガス遺伝子の発現と高い関連があるように(Levin et al. 2012)、発生段階に特異的である。ありえそうな仮説を提示:(1) 高度に保存された非コード配列は、門 (phyla) 内部の phylotipic stage で、遺伝子発現および body pattern が類似するのを確保する、(2) このため phylotipic stage 以外では、高度保存領域は機能せず、厳密に保存されていなメカニズムが遺伝子発現の調節に利用されている (P1392右中)。
本文: Phylogenetic footprinting, ChiP など,用語説明が詳しい (Box1 Glossary)。配列アライメントを用いた研究は、CNE を,percentage seqence identity, size of the genomic region, and evolutionary distance between species を基準として検索する.基準によって判定される CNE 数は異なるが、CNE は鍵となる発生遺伝子の周りにクラスターを形成するという特徴を共有する (Box2).
Gene regulatory block には,trans-dev 遺伝子 (CNE により調節される) が,bystander 遺伝子 (標的遺伝子とは関係なく,CNE のコントロール下にない) とともに存在する.Gene regulatory block では,CNE は,標的遺伝子との関係上,シンテニーを保存するが,bystander 遺伝子は,シンテニーの束縛を受けない,と考えられている.実際,真骨魚類全ゲノム重複の後に生じる二倍体化の過程で,標的遺伝子は保持されたが,bystander 遺伝子は失われた.このため,これらの解析は,あるゲノムブロックにおいて,CNE と標的遺伝子を結びつけるのに使える (Kikuta et al. 2007).
O’Leary MA, Bloch JI, Flynn JJ, Gaudin TJ, Giallombardo A, Giannini NP, Goldberg SL, Kraatz BP, Luo ZX, Meng J, et al. 2013.
The placental mammal ancestor and the post–K-Pg radiation of placentals. Science 339:662–667.
現生種と絶滅種を合わせた哺乳類 86 種から、数千にも及ぶ解剖学的・生理学的な特徴を抽出し、表現型データセットを作成。このマトリックスが Marcovitz et al. (2016) で利用されている。O'Leary (2011) は MorphoBank の Citation.
2012
Clarke,S.L., VanderMeer,J.E.,Wenger,A.M., Schaar,B.T., Ahituv,N. and Bejerano,G. (2012)
Human developmental enhancers conserved between deuterostomes and protostomes. PLoS Genet., 8, e1002852.
Deuterostomes vs protostomes で保持される 2 つのヒト CNS が機能を持つことを実験的に確認 (< H&S16).しかし,二つしかない (Harmston et al. 2013, P2上).この CNS は,中枢神経系と後脳に抑制機能を持つ.
Faircloth BC, et al. 2012.
Ultraconserved elements anchor thousands of genetic markers spanning multiple evolutionary timescales. Syst Biol. 61:717–726.
Hiller,M., Schaar,B.T., Indjeian,V.B., Kingsley,D.M., Hagey,L.R. and Bejerano,G. (2012)
A ‘forward genomics’ approach links genotype to phenotype using independent phenotypic losses among related species. Cell Rep., 2, 817–823.
順ゲノム学アプローチ:種間で独立して欠失した表現型をを用いて、遺伝型と表現型を結びつけるアプローチ。タンパク質コード遺伝子を対象。ビタミン C 合成の欠失 vs Gulo 遺伝子の不活性化、および、モルモットとウマで見られる低い胆汁リン脂質 vs ABCB4 遺伝子の不活性化を結びつける。
Hiller M, Schaar BT, Bejerano G. 2012.
Hundreds of conserved non-coding genomic regions are independently lost in mammals. Nucleic Acids Res. 40:11463–11476.
哺乳類では,種ごとに独立して 100 オーダーの CNS が欠失.これらの欠失が形態的変異と関連 (< Polychronopoulos et al. 2017, P12618右上).GDF11 遺伝子付近に存在する脊髄エンハンサー が,ラットとギニアピッグ系統で独立に欠失 (P11468右中).アライメント (Fig. 2).
哺乳類の系統で独立に欠失した CNE の hg18 座標 (Supp. Excel file)。
Irimia M, Tena JJ, AlexisMS, Fernandez-Mi~nan A,Maeso I, BogdanovicO, de la Calle-Mustienes E, Roy SW, Gomez-Skarmeta JL, Fraser HB. 2012.
Extensive conservation of ancient microsynteny across metazoans due to cis-regulatory constraints. Genome Res. 22:2356–2367.
シンテニーブロック内部での遺伝子の位置が,遺伝子制御に重要と示唆(< B&S16).
Kritsas K, et al. 2012.
Computational analysis and characterization of UCElike elements (ULEs) in plant genomes. Genome Res. 22:2455–2466.
CNS が共有する特徴:発達や,特に胚形成期の遺伝子発現制御などに関わる遺伝子の周りにクラスターを形成する (< Saber and Saitou 2017).
Kryukov K, Sumiyama K, Ikeo K, Gojobori T, & Saitou N (2012)
A New Database (GCD) on Genome Composition for Eukaryote and Prokaryote Genome Sequences and Their Initial Analyses. Genome Biol Evol 4(4):501-512
データベース作成.真核生物101 種と原核生物 1000 種のゲノムデータを用いる.20bp 以下の DNA 配列の塩基頻度を種ごとに計算.偏差は,原核生物より真核生物でずっと大きく,動物内では哺乳類が最も大きかった.
Reneker J, Lyons E, Conant GC, Pires JC, Freeling M, Shyu CR, Korkin D. 2012.
Long identical multispecies elements in plant and animal genomes. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 109:E1183-1191.
複数種で判定された CNE (LIMEs) 数とシンテニーを,動物を植物で比較.
Royo JL, Bessa J, Hidalgo C, Ferna´ndez-Miña´n A, Tena JJ, Roncero Y, et al. 2012
Identification and analysis of conserved cis-regulatory regions of the MEIS1 gene. PloS one. 2012; 7: e33617.
ヒトと真骨類で, Meis1 (保存転写因子) と関連した CNS を比較.
Ryu T, Seridi L, Ravasi T. 2012.
The evolution of ultraconserved elements with different phylogenetic origins. BMC Evol Biol. ;12(1):236.
Takahashi M, Saitou N. 2012.
Identification and characterization of lineage-specific highly conserved noncoding sequences in Mammalian genomes. Genome Biol Evol 4:641-657.
霊長類とげっ歯類それぞれに特異的な保存的非コード配列 (HCNSs: highly conserved noncoding sequences) を判定.ヒト,マーモセット,マウスとラットのゲノムを利用.霊長類特異的な HCNS が純化淘汰を受けているため,重要な機能を持つと指摘.
長さ順に 1000 の HCNSs を選び,系統特異的 HCNS に近い遺伝子 (LHF 遺伝子) と UCE (ultraconserved element) に近い遺伝子を比較.興味深いことに,LHF 遺伝子のほとんどは UCE 近隣の遺伝子とは異なっていた.系統特異的な HCNSs の出現が、系統特異的な特徴を発展させたと考察.表現型に比べて,系統特異的な HCNSs の研究はほとんどなかった (<Saitou 2018).
哺乳類の系統特異的な CNS を調査.CNS 周辺にあるタンパク質コーディング遺伝子は,GO 解析によると,神経システムに含まれることがしばしばあった.
哺乳類系統に特異的な CNS は,CNS の周辺に存在する遺伝子の制御に重要と示唆 (< Babarinde and Saitou 2016).
霊長類とげっ歯類それぞれの系統に特異的な HCNS を Human SNP データと照らし合わせた。すると、HCNS では、その 10% 程度にしか SNP は存在せず、大部分は SNP がなかった。霊長類とげっ歯類それぞれの系統でみられた SNP は、ゲノム全体の平均値よりもは有意に低かった (P645右下)。
dbSNP から、ヒトの SNP データをダウンロードして利用。
疑問点:
1) 「HCNS が,最も近い遺伝子の制御を行う」と仮定しているが,その宣言が論文の前半部ではなく中盤になってなされる: The function of genes that are located near lineage-specific HCNSs may provide important information for understanding
the lineage-specific evolution とこれに続く文章 (P647 右下).
2) LHF と UCE の違いが明示されていない? UCE は脊椎動物全体に見られる HCNS と思われるが (例えば Fig.7 下),vertebrate shared HCNS (Fig. 1) との違いは?
Volter CJ, Call J. 2012.
Problem solving in great apes (Pan paniscus, Pan troglodytes, Gorilla gorilla, and Pongo abelii): the effect of visual feedback. Anim Cogn. 15:923–936.
ヒト上科の特徴:高度な脳機能 (< Saber and Saitou 2017).
2011
Ernst,J., Kheradpour,P., Mikkelsen,T.S., Shoresh,N., Ward,L.D., Epstein,C.B., Zhang,X., Wang,L., Issner,R., Coyne,M. et al. (2011)
Mapping and analysis of chromatin state dynamics in nine human cell types. Nature, 473, 43–49.
クロマチン状態のアノテーション (< Dousse et al. 2016).
Hubisz MJ, Pollard KS, Siepel A. 2011.
PHAST and RPHAST: phylogenetic analysis with space/time models. Briefings in bioinformatics. 2011; 12: 41–51.
動的に CNS を判定するソフトウェア,PHAST.多重アライメントに基づく.準備が大変で,計算負荷が大きい.UCSC から配信 (< Tan et al. 2019).
Janes DE, et al. 2011.
Reptiles and mammals have differentially retained long conserved noncoding sequences from the amniote ancestor. Genome Biol Evol. 3:102–113.
爬虫類と哺乳類の間で共有される CNS.
Lee AP, Kerk SY, Tan YY, Brenner S, Venkatesh B. 2011.
Ancient vertebrate conserved noncoding elements have been evolving rapidly in teleost fishes. Mol Biol Evol. 28:1205–1215.
他の脊椎動物にみられる CNS の多くが、ゼブラフィッシュではみられない。それは、真骨類特異的全ゲノム重複と、その結果加速した進化速度のためである (<Bhatia et al 2014)。
脊椎動物の祖先的 CNS が機能を持つことを実験的に示す (< H&S16).cis-regulatory 配列とみなされる CNEs は,ヒト vs 真骨魚類よりも,ヒト vs ギンザメでよりも多くみられる (< Hara et al. 2018).真骨魚類で見られる高度な表現型多様性は,脊椎動物祖先 CNS の大規模な欠失と加速した置換速度と関連があるとされる (< Polychronopoulos et al. 2017, P12618右上).
Lindblad-Toh K, Garber M, Zuk O, Lin MF, Parker BJ, Washietl S, Kheradpour P, Ernst J, Jordan G, Mauceli E, et al. 2011.
A high-resolution map of human evolutionary constraint using 29 mammals. Nature 478(7370): 476–482.日本語要約.
真獣類 29 種のゲノム比較.進化的制約を受けたヒト・ゲノムの領域を示す.28 万の非コード配列,および霊長類とヒトで置換速度が加速した 1000 領域を見出す.
Lowe,C.B., Kellis,M., Siepel,A., Raney,B.J., Clamp,M., Salama,S.R., Kingsley,D.M., Lindblad-Toh,K. and Haussler,D. (2011)
Three periods of regulatory innovation during vertebrate evolution. Science, 333, 1019–1024. 日本語の解説.
脊椎動物では,発現調節の進化に 3 ステップがあったと主張.初期段階で,CNE は転写因子と発生調節因子をコードする遺伝子の周辺に導入された.その後で CNE は,有胎盤類の進化過程で,細胞シグナル遺伝子,続いて翻訳後修飾に関わる遺伝子,の周辺に導入された.これらのパターンは,脊椎動物の確立に CNE の導入が重要であったことを意味する (<Polychronopoulos et al. 2017).
McLean,C.Y., Reno,P.L., Pollen,A.A., Bassan,A.I., Capellini,T.D., Guenther,C., Indjeian,V.B., Lim,X., Menke,D.B., Schaar,B.T. et al. (2011)
Human-specific loss of regulatory DNA and the evolution of human-specific traits. Nature, 471, 216–219.
ヒトで欠失しているが、チンパンジーや他の哺乳類に存在する CNE (hCONDEL) の座標をリスト (Excel file, pt: チンパンジー)。cCONDEL はチンパンジーで欠失し、他の哺乳類に存在する CNE。腫瘍抑制遺伝子 Gadd45g を制御するエンハンサーを含む 3,181bp 領域 (Fig. 3a) がヒトで欠失 (Supplementary Figure 9) .このエンハンサーは,ヒト・大脳新皮質の拡大と関連する可能性を指摘.
CNE の欠失が,ヒトで penile spine が短くなった例を示す(Polychronopoulos et al. 2017).
Montgomery SH, Capellini I, Venditti C, Barton RA, Mundy NI. 2011.
Adaptive evolution of four microcephaly genes and the evolution of brain size in anthropoid primates. Molecular Biology and Evolution 28:625-638.
ヒト進化の過程で、小頭症遺伝子のいくつかにおいて、機能に関連する DNA 部位の変位速度が上昇。 この加速的変位は、ヒト進化における早い時期、類人猿とヒト属全体へつながるおおもとの系統で起こったように考えられる。さらに、これらの遺伝子における適応変異は、類人猿とヒトへつながった系統だけでなく、南アメリカやアフリカのサルを含む高等霊長類全体で広く見つかった (<ハリス 2015, P157)。
ヒト上科で脳容量が急激に大きくなったことを示す。新世界ザルとも比較 (Fig. 1)。
Suzuki, R., & Saitou, N. (2011).
Exploration for functional nucleotide sequence candidates within coding regions of mammalian genes. DNA Research, 18, 177–187.
哺乳類 6 種 (Homo sapiens, Macaca mulatta, Mus musculus, Rattus norvegicus, Bos taurus, and Canis familiaris) のオーソロガス遺伝子から,他の領域よりも保存性の高い 4150 配列 (SCCs と命名) を抽出.SCCs は 2274 遺伝子に見られた.
VanderMeer, J.E., and Ahituv, N. (2011).
cis-regulatory mutations are a genetic cause of human limb malformations. Dev. Dyn. 240, 920–930.
総説。エンハンサーの突然変異によって生じるヒト・四肢に関する先天性異常。多趾症に関連した SNP (Table 1) (<Kvon et al. 16)。
Wittkopp, P. J. & Kalay, G. 2011.
Cis-regulatory elements: molecular mechanisms and evolutionary processes underlying divergence. Nat. Rev. Genet. 13, 59–69 (2011).
CNS はシスエレメントとオーバーラップすることが多い (<Roscito et al. 18)。
Yamamichi M, Innan H. 2011.
始めよう!エコゲノミクス. 日本生態学会誌.
Yalcin B, Wong K, Agam A, Goodson M, Keane TM, Gan X, Nellaker C, Goodstadt L, Nicod J, Bhomra A, et al. 2011.
Sequence-based characterization of structural variation in the mouse genome. Nature 477:326-329.
Mouse 系統での SNP (Table S4).
2010
Amiel,J., Benko,S., Gordon,C.T. and Lyonnet,S. (2010)
Disruption of long-distance highly conserved noncoding elements in neurocristopathies. Ann. N Y Acad. Sci., 1214, 34–46.
総説。CNS と病気の関係。PAX6 Aniridia にも言及 (Table 1)。SOX10 内部 CNS の Human-Mouse アライメントを作成し、SNP を検証 (Fig. 1)。
Bai L, Morozov AV. 2010.
Gene regulation by nucleosome positioning. Trends Genet. 26:476–483.
調節配列は,ヌクレオソームを形成しにくい (< Saber et al. 16).
Chan YF, et al. 2010.
Adaptive evolution of pelvic reduction in sticklebacks by recurrent deletion of a Pitx1 enhancer. Science 327:302–305.日本語の解説.
多能性 Pitx1 遺伝子を制御する転写エンハンサーを含む CNS の欠失が,主要な表現型変化を導くことを,イトヨで示す (< Saber et al. 2016).
Pitx1 遺伝子のエンハンサー (遺伝子の発現を調節する領域) の欠失変異が,棘の消失を引き起こすことを実験的に示した.アライメント (Fig. S3)。
さらに,棘をなくす正の方向性選択を見出したと主張.棘無し集団 (淡水),棘あり集団 (淡水),海洋集団で塩基多様度の比較を行った.ゲノム中で中立と想定される領域と Pitx1 の隣接領域では,淡水集団では,棘の有無にかかわらず,海洋集団よりも塩基多様度が低かった.ボトルネックの影響と示唆.一方,欠失の周辺では,棘無し集団 (淡水) の塩基多様度が,棘あり集団 (淡水) と海洋集団に比べて,大幅に減少していた.このため,淡水環境への進出の際に,ボトルネックだけでなく,棘をなくす変異に正の方向性選択が働いて,さらなる変異の減少が生じたとする.
トゲウオでは,淡水に侵入する過程で,複数の場所で腹部の棘が並行して消失している.その理由として,淡水環境では 1) 溶存カルシウム濃度が不足する,2) トゲウオを丸呑み捕食者がいない, 3) 棘を捕食に利用する捕食者がいる,などが考えられている (< 山道 & 印南 11).
Kaplan N, et al. 2010.
Nucleosome sequence preferences influence in vivo nucleosome organization. Nat. Struct. Mol. Biol. 17:918–920.
ヌクレオソーム存在確率を推定する計算モデル.
http://genie.weizmann.ac.il/software/nucleo_prediction.html.
Matsunami M, Sumiyama K, Saitou N. 2010.
Evolution of conserved non-coding sequences within the vertebrate Hox clusters through the two-round whole genome duplications revealed by phylogenetic footprinting analysis. Journal of Molecular Evolution 71:427-436.
脊椎動物 Hox クラスターで 203 CNS を判定し,これらが cis-調節因子の候補配列と指摘.Hox クラスター内部のオーソロガス CNS,さらには,オーノロガス CNS を判定.
UCSC の脊椎動物 18 種ゲノムアライメントから Hox clusters を得る.CNS は保存の深さを見るために,3 種類 (有胎盤類,羊膜類,脊椎動物) にカテゴリー分け.
BLAST: Default, cutt off scores of >200.
McLean CY, Bristor D, Hiller M, Clarke SL, Schaar BT, Lowe CB, Wenger AM, Bejerano G. 2010.
GREAT improves functional interpretation of cis-regulatory regions. Nat Biotechnol. 28:495–501.
cis-regulatory regions の機能を推定するウェブツール,GREAT.もっとも近くにある遺伝子の機能を CNE は調節するという「nearest-gene rule」を使う (P496右下).取説はこちら.
CNE は近接する遺伝子の発現を調節することが多い,と過程 (< Marcovitz et al 2016).
Zhang YE, Vibranovski MD, Landback P, Marais GA, Long M. 2010.
Chromosomal redistribution of male-biased genes in mammalian evolution with two bursts of gene gain on the X chromosome. PLoS Biol. 8:e1000494.
脊椎動物の進化比較から,ヒト科の進化で新しい遺伝子の創出が加速したと指摘 (< Saber et al. 2016).
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CNE の標的遺伝子を実験的に決める? (< Dimitrieva and Bucher 2013).
Benko S, et al. 2009.
Highly conserved non-coding elements on either side of SOX9 associated with Pierre Robin sequence. Nat Genet. 41:359–364.
CNS が共有する特徴:発達や,特に胚形成期の遺伝子発現制御などに関わる遺伝子の周りにクラスターを形成する (< Saber and Saitou 2017).
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Pan-vertebrate conserved non-coding sequences associated with developmental regulation. Brief Funct Genomic Proteomic 8:256-265.
総説.web にない.
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シスエレメントの異常は遺伝病の原因となっている場合がある (wiki)。
Hufton AL, Mathia S, Braun H, Georgi U, Lehrach H, Vingron M, Poustka AJ, Panopoulou G. 2009.
Deeply conserved chordate noncoding sequences preserve genome synteny but do not drive gene duplicate retention. Genome Research 19:2036-2051.
Chordate で保存された 56 CNS 配列を公開 (Supplemental Data S3)。
B. floridae vs mouse, fugu, zebrafish 間で 1299 CNS を判定 (< Yue et al. 16)。座標とともに fasta 配列も公開 (Supple. S2 )。
ナメクジウオデータは、JGI v1.0 を利用。
Jiménez-Delgado S, Pascual-Anaya J, Garcia-Fernàndez J. 2009.
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シスエレメントの再編成は生物の形態を帰る能力を持っており、生物進化に大きな役割を果たしていると考えられている (wiki)。
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A burst of segmental duplications in the genome of the African great ape ancestor. Nature 457:877–881.
霊長類,特にヒト-アフリカ類人猿の共通祖先につながる系統で,遺伝子重複イベントが多数生じたと指摘 (< Saber et al. 2016, P2077右上).
McEwen,G.K., Goode,D.K., Parker,H.J., Woolfe,A., Callaway,H. and Elgar,G. (2009)
Early evolution of conserved regulatory sequences associated with development in vertebrates. PLoS Genet., 5, e1000762.
脊椎動物で CNE が導入された後,CNE に隣接した配列が調節機能へと系統別にコオプトされうる (< Polychronopoulos et al. 2017).
Navratilova,P. and Becker,T.S. (2009)
Genomic regulatory blocks in vertebrates and implications in human disease. Brief. Funct. Genomic Proteomic, 8, 333–342.
総説。シスエレメントの異常は遺伝病の原因となっている場合がある (wiki)。
Visel A, Rubin EM, Pennacchio LA. 2009.
Genomic views of distant-acting enhancers. Nature 461:199–205.
CNS はヒトの病気と関連 (< Saber et al. 2016).
2008
Blekhman R, Oshlack A, Chabot AE, Smyth GK, Gilad Y. 2008.
Gene regulation in primates evolves under tissue-specific selection pressures. PLoS Genet. 4:e1000271.
分類群特異的な遺伝子が,環境変化への適応に貢献.
Carroll SB. 2008.
Evo-devo and an expanding evolutionary synthesis: a genetic theory of morphological evolution. Cell 134:25–36.
総説。CNE は、それが制御する標的遺伝子よりも作用の多面性が低い (< Marcovitz et al. 2016, P1359左下)。
Chiang CWK, Derti A, Schwartz D, Chou MF, Hirschhorn JN, Wu C-T. 2008.
Ultraconserved elements: analyses of dosage sensitivity, motifs and boundaries. Genetics. 2008; 180: 2277–2293.
脊椎動物の非エクソンCNE は,TAATTA モチーフが多く見られる.これは,ホメオドメイン結合モジュールと類似 (< Tan et al. 2019).
Crompton RH, Vereecke EE, Thorpe SK. 2008.
Locomotion and posture from the common hominoid ancestor to fully modern hominins, with special reference to the last common panin/hominin ancestor. J Anat. 212:501–543.
ヒト上科の特徴:構造的な表現型 (< Saber and Saitou 2017).
Elgar,G. and Vavouri,T. (2008)
Tuning in to the signals: noncoding sequence conservation in vertebrate genomes. Trends Genet., 24, 344-352.
総説.ヒト vs ネズミや vs フグで保存された CNS は調節領域か疑問を呈する.ENCODE プロジェクトなどは,多くの調節要素は保存配列でないと指摘.
Hockman D, Cretekos CJ, Mason MK, Behringer RR, Jacobs DS, Illing N (2008)
A second wave of Sonic hedgehog expression during the development of the bat limb. Proc Natl Acad Sci USA 105(44):16982–16987
コウモリ翼でのFgf8, Shh, Ptch1 遺伝子発現の変化は,指の長さと interdigital webbin g の広がりと関連.原因となる遺伝的変化はわかっていない (<Roscito & Hiller 19).
Jeong Y, Leskow FC, El-Jaick K, Roessler E, Muenke M, Yocum A, Dubourg C, Li X, Geng X, Oliver G, et al. 2008.
Regulation of a remote Shh forebrain enhancer by the Six3 homeoprotein. Nature Genetics 40:1348-1353.
ヒトとマウスでは、SHH SBE2 エンハンサーで一つの塩基に変異が入ると、軸前多趾症 (preaxial polydactyly) が両者で生じることを示す。検出可能な表現型の変異が、CNE の変化と同調していた例としてよく知られる (< Polychronopoulos et al 17)。
ヒト、マウス、ニワトリ、フグの SBE2 アライメント上で、関連変異サイトを図示 (Fig. 2)。
Kosiol C, et al. 2008.
Patterns of positive selection in six mammalian genomes. PLoS Genet. 4:e1000144.
ヒト-チンパンジー共通祖先および狭鼻類 (Catarrhini) で生じた生の自然淘汰を,それぞれ,7 と 21 遺伝子から検出.
Pascual-Anaya J, D’Aniello S, Garcia-Ferna`ndez J (2008)
Unexpected number of conserved noncoding regions within the ancestral chordate Hox cluster. Dev Genes Evol 218:591–597.
ナメクジウオ vs ヒトで Hox クラスタ内部の CNS を報告.
Putnam NH, et al. 2008.
The amphioxus genome and the evolution of the chordate karyotype. Nature 453:1064–1071.
B. floridae と human 間で 77 CNS を判定 (< Yu e et al. 16)。[しかし、これらの配列は提示されていない模様。]
Waterhouse,R.M., Tegenfeldt,F., Li,J., Zdobnov,E.M. and Kriventseva,E. V (2013) OrthoDB: a hierarchical catalog of animal, fungal and bacterial orthologs. Nucleic Acids Res., 41, D358-D365.
OrthoDB.シンテニーブロック判別に,タンパク質遺伝子のオーソログ情報を Dousse et al. 2016 が利用.
2007
Becker and Lenhard (2007)
The random versus fragile breakage models of chromosome evolution: a matter of resolution. Mol. Genet. Genomics.
総説。
Bird, C. P., et al. (2007).
Fast-evolving noncoding sequences in the human genome. Genome Biology, 8, R118.
Calin,G.A., Liu,C., Ferracin,M., Hyslop,T., Spizzo,R., Sevignani,C., Fabbri,M., Cimmino,A., Lee,E.J., Wojcik,S.E. et al. (2007)
Ultraconserved regions encoding ncRNAs are altered in human leukemias and carcinomas. Cancer Cell, 12, 215–229.
ガンに関与する CNE.CNE は通常は先天異常に関与するとされる.Bejerno et al. (2004) の 481 ultraconserved regions を転写レベルを比較.これらのうち 93% が転写されていた.
Dostie J, Dekker J. 2007.
Mapping networks of physical interactions between genomic elements using 5C technology. Nat Protoc. 2:988–1002.
染色体間で DNA 相互作用を示す.このことは,制御因子とターゲット遺伝子が異なる染色体にあることを示唆 (B&S16).
Engström PG, Ho Sui SJ, Drivenes Ø, Becker TS, Lenhard B. 2007.
Genomic regulatory blocks underlie extensive microsynteny conservation in insects. Genome Res 2007, 17:1898-1908.
昆虫間のゲノム調節ブロック (GBR).
Hoekstra,H.E. and Coyne,J.A. (2007)
The locus of evolution: evodevo and the genetics of adaptation. Evolution, 61, 995–1016.
シス調節領域が表現型形質を決定(< Berger et al 18).
Kikuta H, Fredman D, Rinkwitz S, Lenhard B, Becker TS. 2007.
Retroviral enhancer detection insertions in zebrafish combined with comparative genomics reveal genomic regulatory blocks—a fundamental feature of vertebrate genomes. Genome Biol. 8(1 Suppl):S4.
総説.PAX6a と PAX6b 周辺の CNR 構造 (Fig. 1)。
Kikuta, H., Laplante, M., Navratilova, P., Komisarczuk, A. Z., Engström, P. G.,
Fredman, D., Akalin, A., Caccamo, M., Sealy, I., Howe, K. et al. (2007).
Genomic regulatory blocks encompass multiple neighboring genes and maintain conserved synteny in vertebrates. Genome Res. 17, 545-555.
Gene regulatory blocks (GRBs) には,trans-dev 遺伝子 (CNE のコントロールを受ける) と,bystander 遺伝子 (標的遺伝子とは関係なく,CNE のコントロール下にない) とともに存在する.Gene regulatory block では,CNE は,標的遺伝子との関係上,シンテニーを保存するが、bystander 遺伝子は,シンテニーの束縛を受けない,と考えられている.実際,真骨魚類全ゲノム重複の後に生じる二倍体化の過程で,標的遺伝子は保持されたが,bystander 遺伝子は失われた.このため,これらの解析は,あるゲノムブロックにおいて,CNE と標的遺伝子を結びつけるのに使える (< Nelson and Wardle, 2013).
Lowe, C.B., Bejerano, G. & Haussler, D.
Thousands of human mobile element fragments undergo strong purifying selection near developmental genes. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 104, 8005–8010 (2007).
脊椎動物では,CNE はもっとも近い遺伝子を制御するようだ (P8005左).
Mikkelsen TS, et al. 2007.
Genome of the marsupial Monodelphis domestica reveals innovation in non-coding sequences. Nature 447:167–177.
トランスポゾンが真獣類特異的 CNS の起源に関与すると指摘.
Nakatani Y, Takeda H, Kohara Y, & Morishita S (2007)
Reconstruction of the vertebrate ancestral genome reveals dynamic genome reorganization in early vertebrates. Genome Res. 17(9):1254-1265.
重要.力作.魚類を中心とした脊椎動物祖先種での染色体構造を推定.ヒト・タンパク質遺伝子の 20-30% は,1R/2R まで起源をさかのぼることができると示唆 (Makino and McLysaght, 2010).
メダカゲノムと比較し,ヒトゲノムに 118 conserved vertebrate linkage (CVL) 領域を判定.
オーノログ判定は BLAST 解析による (Supple. P1).
Vavouri T,Walter K, GilksWR, Lehner B, Elgar G. 2007.
Parallel evolution of conserved non-coding elements that target a common set of developmental regulatory genes fromworms to humans. Genome Biol. 8:R15.
フグ,ヒト,C.elegans,ハエゲノムで,CNS に接した領域で AT 含量の低下を報告.
Visel A, Minovitsky S, Dubchak I, Pennacchio LA. 2007.
VISTA Enhancer Browser-a database of tissue-specific human enhancers. Nucleic Acids Res. 35:D88–D92.
データベース (上記) のコラムを参照.
Wray,G.A. (2007)
The evolutionary significance of cis-regulatory mutations. Nat. Rev. Genet., 8, 206–216.
シス調節領域が表現型形質を決定(< Berger et al 18).
Woolfe A, et al. 2007.
CONDOR: a database resource of developmentally-associated conserved non-coding elements. BMC Dev Biol. 7: 100.
データベース (上記) のコラムを参照.
2006
Bejerano G, Lowe CB, Ahituv N, King B, Siepel A, Salama SR, Rubin EM, James Kent W, Haussler D. 2006.
A distal enhancer and an ultraconserved exon are derived from a novel retroposon. Nature 441, 87-90.
トランスポゾンの残骸が機能を持った例を示す.CNE の起源と示唆.
四足動物で保存されたいくつかの非コード領域を発見.シーラカンスで機能を持っていると主張.これらの被コード領域は,シルル紀の肉鰭類で SINE に起源していたとする.
これらの配列の一つはPCBP2 のエクソンの一つであるとともに,200bp 以上からなる UCE であり,哺乳類では 100% 保存され,シーラカンスの SINE では 80% 保存されていた.
無脊椎動物で,配列比較からCNS を見つけるのは難しい.
Derti A, Roth FP, Church GM, et al. 2006.
Mammalian ultraconserved elements are strongly depleted among segmental duplications and copy number variants. Nat Genet. 2006;38(10):1216–1220.
Gómez-Skarmeta et al. (2006)
New technologies, new findings and new concepts in the study of vertebrate cis-regulatory sequences. Dev. Dyn. 235:870-85.
総説。
Lee TI, Jenner RG, Boyer LA, et al. 2006.
Control of developmental regulators by polycomb in human embryonic stem cells. Cell. 2006;125 (2):301–313.
McEwen GK, et al. 2006.
Ancient duplicated conserved noncoding elements in vertebrates: a genomic and functional analysis. Genome Res. 16:451–465.
全ノム重複に由来する CNE コピー.パラロガス染色体領域に限定した region-focused BLAST 検索ではなく,全ゲノム配列のMegaBLAST 検索によってパラロガス CNS を検索 (<M&S13).
Pennacchio LA, et al. 2006.
In vivo enhancer analysis of human conserved non-coding sequences. Nature 444:499–502.
脊椎動物 HCNS のいくつかは,近隣遺伝子の遠位エンハンサーとして機能すると報告 (< Saitou 2018).
Pollard KS, Salama SR, King B, Kern AD, Dreszer T, Katzman S, Siepel A, Pedersen JS, Bejerano G, Baertsch R, et al. 2006a.
Forces shaping the fastest evolving regions in the human genome. PLoS Genetics 2:e168.
ヒトゲノムで加速しているが,他の脊椎動物では保存されている領域を 202 見出す.トップファイブの座標 (Table 1)。これらのいくつかは,RNA 遺伝子で,組織特異的なエンハンサーであった (< Hu et al. 2019).
dbSNP データを利用。 アライメント (Fig. S8)
Pollard KS, Salama SR, Lambert N, Lambot MA, Coppens S, Pedersen JS, Katzman S, King B, Onodera C, Siepel A, et al. 2006b.
An RNA gene expressed during cortical development evolved rapidly in humans. Nature 443:167–172.
ヒトで加速した RNA である HAR1F 領域のアライメント (Supple. P18, Fig. S3)。HAR1F はヒト大脳皮質 (cortex) の進化に関わる。
ゲノムスクリーンによって、チンバンジーや他の哺乳類では保存的だが、ヒトでは置換速度が加速しているか欠失している noncoding regionsを検出 (< Prudent et al. 2016)。
Prabhakar, A., Noonan, J. P., Pääbo, S., & Rubin, E. M. (2006).
Accelerated evolution of conserved noncoding sequences in humans. Science, 314, 786.
ゲノムスクリーンによって、チンバンジーや他の哺乳類では保存的だが、ヒトでは置換速度が加速しているか欠失している noncoding regions を検出 (< Prudent et al. 2016)。領域のコーディネート (Excel file)。
Sabeti PC, et al. 2006.
Positive natural selection in the human lineage. Science 312:1614–1620.
ヒト科特有にみられる強い正の自然淘汰を,宿主病原体相互作用,免疫反応, 生殖 (特に精子形成),知覚に含まれる遺伝子で検出 (< Saber et al. 2016).
2005
Carroll SB. 2005.
Evolution at two levels: on genes and form. PLoS Biol. 3:e245.
標的遺伝子の不活性化に比べて、CNE の不活性化は有害ではない。このため、CNE の欠失は、遺伝子の欠失よりも頻繁にみられるだろう (< Marcovitz et al. 2016)。
de la Calle-Mustienes E, Feijoo CG, Manzanares M, Tena JJ, Rodriguez-Seguel E, Letizia A, et al. 2005.
A functional survey of the enhancer activity of conserved non-coding sequences from vertebrate Iroquois cluster gene deserts. Genome research. 2005; 15: 1061–1072.
Lettice,L.A. and Hill,R.E. (2005)
Preaxial polydactyly: a model for defective long-range regulation in congenital abnormalities. Curr. Opin. Genet. Dev., 15, 294–300.
軸前多趾症 (preaxial polydactyly) の総説。
Keightley, P. D., Lercher, M. J., & Eyre-Walker, A. (2005).
Evidence for widespread degradation of gene control regions in hominid genomes. PLoS Biology, 3, e42.
ヒト科の調節要素は,中立的な進化速度で多様化していると示唆 (< Saitou 2018, P171).
Kleinjan and van Heyningen (2005)
Long-range control of gene expression: emerging mechanisms and disruption in disease. Am. J. Hum. Genet. 76:8-32.
総説。
Kryukov, G. V., Schmidt, S., & Sunyaev, S. (2005).
Small fitness effect of mutations in highly conserved non-coding regions. Human Molecular Genetics, 14, 2221–2229.
調節因子の進化に影響を与える選択圧は,げっ歯類系統に比較して,ヒト科系統で顕著に緩んでいると指摘 (< Saitou 2018, P171).
Siepel,A., Bejerano,G., Pedersen,J.S., Hinrichs,A.S., Hou,M., Rosenbloom,K., Clawson,H., Spieth,J., Hillier,L.W., Richards,S. et al. (2005)
Evolutionarily conserved elements in vertebrate, insect, worm, and yeast genomes. Genome Res., 15, 1034-1050.
進化的に保存された領域を決める.phastCons (< Dousse et al. 2016), PHAST パッケージの一つ。哺乳類で保存された CNE が、Marcovitz et al. (2016) で利用されている。
著者らは脊椎動物 5 種、昆虫 4 種、
線虫 2 種、Saccharomyces 7 種のゲノムを比較。脊椎動物と昆虫の CNS の半分以上が、イントロンとアノテートされていない遺伝子間領域に存在することを発見 (< Saitou 2018)。
Woolfe A, Goodson M, Goode DK, Snell P, McEwen GK, Vavouri T, Smith SF, North P, Callaway H, Kelly K, et al. 2005.
Highly conserved non-coding sequences are associated with vertebrate development. PLoS Biol. 3:e7.
CNE はクラスターを形成する.フグの CNE.
脊椎動物 HCNS のいくつかは,近隣遺伝子の遠位エンハンサーとして機能すると報告 (< Saitou 2018).
2004
Ahituv et al. (2004)
Exploiting human-fish genome comparisons for deciphering gene regulation. Hum. Mol. Genet. 13:R261-6.
総説。
Bejerano G, Pheasant M, Makunin I, Stephen S, Kent WJ, Mattick JS, Haussler D. 2004.
Ultraconserved elements in the human genome. Science 304:1321–1325.
ヒト,ネズミ,ラットのゲノムを比較し,483(481?) 個以上の CNS (200bp 以上,3 種で 100% identity 共有) を発見.Matsunami and Saitou (2012) は基準が厳しいとする.
Ultraconserved elements と呼ぶ.
パラロガス染色体領域に限定せず,全ゲノム配列のMegaBLAST 検索によってパラロガス CNS を検索 (<M&S13).
hg16 で判定した 481 ultra conserved elements を公開 (link).
Sabarinadh C, Subramanian S, Tripathi A, et al. 2004.
Extreme conservation of noncoding DNA near HoxD complex of vertebrates. BMC Genom. 2004;5:75.
Sagai,T.,Masuya,H., Tamura,M., Shimizu,K., Yada,Y., Wakana,S., Gondo,Y., Noda,T. and Shiroishi,T. (2004)
Phylogenetic conservation of a limb-specific, cis-acting regulator of Sonic hedgehog (Shh). Mamm. Genome, 15, 23–34.
ヘビの後肢欠失は、四肢の発達に関わる遺伝子を調節する CNEが一部か全て失われているために生じる (< Polychronopoulos et al 17)。
Sandelin A, Bailey P, Bruce S, et al. 2004.
Arrays of ultraconserved noncoding regions span the loci of key developmental genes in vertebrate genomes. BMC Genom. 2004;5(1):99.
フグの CNE.
Shapiro,M.D., Marks,M.E., Peichel,C.L., Blackman,B.K., Nereng,K.S., Jonsson,B., Schluter,D. and Kingsley,D.M. (2004)
Genetic and developmental basis of evolutionary pelvic reduction in threespine sticklebacks. Nature, 428, 717–723.
イトヨ・腹ビレの消失に関係する SNP を検出.コーディネートは記述していない.
2003
Boffelli, D., et al. (2003).
Phylogenetic shadowing of primate sequences to find functional regions of the human genome. Science, 299, 1391–1394.
Kent WJ, Baertsch R, Hinrichs A, Miller W, Haussler D. 2003.
Evolution’s cauldron: duplication, deletion, and rearrangement in the mouse and human genomes. Proc Natl Acad Sci U S A. 100:11484–11489.
Lettice LA, Heaney SJ, Purdie LA, Li L, de Beer P, Oostra BA, Goode D, Elgar G, Hill RE, de Graaff E. 2003.
A long-range Shh enhancer regulates expression in the developing limb and fin and is associated with preaxial polydactyly. Hum Mol Genet. 12:1725–1735. Link.
ヒトとマウスでは、SHH ZRS エンハンサーで一つの塩基に変異が入ると、軸前多趾症 (preaxial polydactyly) が両者で生じることを示す。検出可能な表現型の変異が、CNE の変化と同調していた例としてよく知られる (< Polychronopoulos et al 17)。
ヒト、マウス、フグの ZRS アライメント上で、関連変異サイトを図示 (Fig. 2、しかし、PPD[preaxial polydactyly] や Hx[hemimelic extra toes] を示すサイトは。☆印が不明確で判定不能)。
Supplements はない。
調節領域と遺伝子が遠くにある例 (< B&S16)。
Shapiro MD, Hanken J, Rosenthal N (2003)
Developmental basis of evolutionary digit loss in the Australian lizard Hemiergis. J Exp Zool B Mol Dev Evol 297(1):48–56
トカゲの指が短くなるのは,Shh 発言変化と関連.遺伝的な裏ずけはわかっていない (<Roscito & Hiller 19).
Sumiyama K, Ruddle FH. 2003.
Regulation of Dlx3 gene expression in visceral arches by evolutionarily conserved enhancer elements. Proc Natl Acad Sci U S A. 100:4030–4034.
対象とする遺伝子の近傍配列から得た保存的領域から調節領域の候補を探し,実験的に制御に関わるか検証 (< Babarinde and Saitou, 2014).
2002
Sumiyama K, Irvine SQ, Stock DW, Weiss KM, Kawasaki K, Shimizu N, Shashikant CS, Miller W, Ruddle FH. 2002.
Genomic structure and functional control of the Dlx3-7 bigene cluster. Proc Natl Acad Sci U S A. 99:780–785.
ある種の CNS は最も近くにある遺伝子の制御に関わることを実験的に示す (< Babarinde and Saitou, 2016).
2001
Sherry ST, et al. 2001.
dbSNP: the NCBI database of genetic variation. Nucleic Acids Res. 29:308–311.
2000
Carroll SB. 2000.
Endless forms: the evolution of gene regulation and morphological diversity. Cell 101:577–580.
1995
Aparicio,S., Morrison,A., Gould,A., Gilthorpe,J., Chaudhuri,C., Rigby,P., Krumlauf,R. and Brenner,S. (1995)
Detecting conserved regulatory elements with the model genome of the Japanese puffer fish, Fugu rubripes. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 92, 1684–1688.
初めて CNS を判定。同時に遺伝子導入マウスを使って、CNS にエンハンサー活性を示す (<Polychronopoulos et al. 2017)。
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