下位真骨類の系統解析




 下位真骨類 5 系列 (アロワナ類,カライワシ類,ニシン類,骨鰾類,原棘鰭類) の系統関係について,形態・分子データに基づく様々な仮説が存在しています,ミトコンドリアゲノム全長配列に基づいて最尤法と最節約法を用いて系統解析を行ったところ,これまでのどの仮説とも異なる系統樹が得られました.しかしながら得られた系統樹は,アロワナ類が真骨類で最も深い分岐となりニシン類と骨鰾類が姉妹群となるなど,近年広く認められている関係を総括するものでした (図).さらに,得られた系統樹は統計的に高い値で支持されたため,ミトコンドリアゲノムデータに基づく解析は,魚類における 1 億年を超えるような深い分岐の系統関係を解決する能力があると示唆されました.


Inoue, J. G., Miya, M., Tsukamoto, K., Nishida, M. 2001. A mitogenomic perspective on the basal teleostean phylogeny: resolving higher-level relationships with longer DNA sequences. Molecular Phylogenetics and Evolution 20, 275-285.

Inoue, J. G., Miya, M. 2001. Phylogeny of the basal teleosts, with special reference to the Elopomorpha. Japanese Journal of Ichthyology 48, 75-91 (in Japanese with English abstract).